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2025/12/31

2025年 面白かった本

今年もSNSで「読了。」とつぶやいた本をまとめてみました。

先に特筆したい本を挙げていきます(リンク先は版元):
まずは文学作品から。
いきなりリンク先が版元でなくて申し訳ないのですが、今年いちばん印象に残ったのは依空まつり著「サイレント・ウィッチ(web版)」でした。2025夏アニメだった「サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと」が面白くて原作をチェックしたところ「なろう」で2020年に連載し完結していたことを知り、話が進むほどに夢中になって読み切りました。その余韻があまりにもよくて商業版(小説コミカライズ)までは手が伸びず、現在に至っています。ちなみに、アニメは本編全体の1/3ぐらいのところで綺麗に終わりました。
昨年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの作品の電子化が白水社さんでも進み、「別れを告げない」と「回復する人間」を読めました。いずれも心の深いところをそっと撫でてきて揺さぶられました。なお、河出書房新社さんから出たばかりの「光と糸」は来年のお楽しみです。
第23回「このミス」大賞の土屋うさぎ著「謎の香りはパン屋から」は久々に読んだ日常系ミステリーで、謎解きとともに美味しそうなパンの小ネタと私が生まれ育った北摂の街並みも含めて楽しかったです。
今年は正月の「100分de名著」特番が筒井康隆だったこともあって「エロチック街道」、「パプリカ」、「脱走と追跡のサンバ」を楽しく読みました。一方、特番で推されていた中でも古い作品は電子化されていなかったり、されていても文字サイズ等の不自由な固定レイアウト型が多くて読めず、際限なく読むことにならなかったのは良かったのか悪かったのか。
ジェフリー・オヴ・モンマス著,瀬谷幸男訳「ブリタニア列王史――アーサー王ロマンス原拠の書」は、英国の起こりを描いた12世紀の偽史なのですが、荒唐無稽な中に古今の物語の原型みたいなものが続々と現れて、なかなかに凄かったです。

続いてノンフィクションです。
シジュウカラ語を解明したことで有名になった鈴木俊貴さん初の単著「僕には鳥の言葉がわかる」が抜群に面白かったです。ラジオやYouTubeなどで凄いとは思っていましたが、本にまとめられたことで主張や課題が経緯を含めて明確になっており、素晴らしい1冊でした。
動物ものつながりで、服部円著,子安ひかり監修「ネコは(ほぼ)液体である〜ネコ研究最前線」は、かわいいし知的好奇心を刺激されるしで面白かったです。列挙されている論文40本のうちオープンアクセスだった24本を全部読んで、いい頭の体操にもなりました。
ジェノサイドが21世紀になって起こるとは想像しておらず、イスラエルによるガザへの苛烈な攻撃に驚き心を痛めつつ、ホロコーストを契機とした建国との齟齬が理解できずにいたところで読んだ大治朋子著『「イスラエル人」の世界観』は衝撃的でした。著者のイスラエル人脈を元にした記述に多少のバイアスは感じられるものの、これを前提に考えないと和平はないのかも知れません。国外からの圧力はアメリカしか頼りにならないようですが、それも厳しそうだというのが次の本。
アメリカ社会思想の動向を論じた井上弘貴著「アメリカの新右翼―トランプを生み出した思想家たち―」は、様々な思惑が複雑に絡み合っている様子を見事に描写していて興味深かったです。この本は、先に会田弘継著「それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史」やベンジャミン・ウォレス著,小林啓倫訳「サトシ・ナカモトはだれだ? 世界を変えたビットコイン発明者の正体に迫る」を読んでいたおかげで理解が深まりました(特に後者のテック右派潮流)。眼前の現象より深いところを直視せざるを得ないようです。

次にまんがです。
今年は完結した作品が多くて、小板玲音著「エレナの炬火」、いのうえひなこ著「ウェスタの台所」、熊谷雄太著,スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作,今中哲二・後藤一信監修 「チェルノブイリの祈り」、馬場康誌著「ライドンキング」と続きました(「本好きの下剋上 第二部」は後述)。いずれも読み応えのある作品で、最後まで見届けられてよかったです。
年末に読んだ尾花せいご著,西洋魔術博物館監修「放課後おまじない倶楽部」は、たぶん一巻完結。いくつかは小耳に挟んだことがある迷信や伝承の数々を学園ものにコミカライズして解説も付いて、ギュッと詰まった面白い作品でした。

毎度の別枠。夏に第56回星雲賞(【日本長編部門(小説)】)受賞という大ニュースがあった香月美夜著・原作の「本好きの下剋上」シリーズが、いまも続いていて楽しんでいます。発行順にまとめると「【まんが】本好きの下剋上2-12」、「【まんが】本好きの下剋上4-10」、「【まんが】本好きの下剋上3-9」、「ハンネローレの貴族院五年生 2(+ドラマCD2)」、「【まんが】本好きの下剋上2-13」、「【まんが】本好きの下剋上4-11」、「ふぁんぶっく10」、「【まんが】ハンネローレの貴族院五年生1」の8冊+CD2枚でした(コミックス&CDにも原作者SSが付いています)。特に第一部から描き継いできた鈴華さんによる第二部は感動の結末を迎え、先行していた第三部の導入とも綺麗に繋げていて見事でした。そして第五部を鈴華さんが手がけることが9月に発表され、2026/01/19の新連載開始を前に「冒頭部試し読み」が公式サイト限定で行われています。また、春にはアニメ第4期も始まります。わくわくっ(←WIT STUDIO制作になるのでアーニャっぽく)
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想つぶやき):
安克昌著「心の傷を癒すということ
宮地尚子著「100分de名著 安克昌『心の傷を癒すということ』
鷹野凌著「ライトノベル市場はほんとうに衰退しているのか? 電子の市場を推計してみた
馬場康誌著「ライドンキング(14)
会田弘継著「それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史
結城弘著,さばみぞれ絵「イマリさんは旅上戸
鈴木俊貴著「僕には鳥の言葉がわかる
有吉佐和子著「青い壺
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2-12
芦田徹郎著『100分de名著デュルケーム「社会分業論」
熊谷雄太著,スヴェトラーナアレクシエーヴィチ原作「チェルノブイリの祈り3
山本龍彦著「アテンション・エコノミーのジレンマ
サマル・ヤズベク著,柳谷あゆみ訳「無の国の門:引き裂かれた祖国シリアへの旅
安藤ホセ著「DTOPIA(デートピア)
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-10
堀越功著「官邸vs携帯大手 値下げを巡る1000日戦争
小板玲音著「エレナの炬火3
ハン・ガン著,斎藤真理子訳「別れを告げない
スタニスラス・ドゥアンヌ著,長谷川眞理子・小林哲生訳「数覚とは何か?〔新版〕 心が数を創り、操る仕組み
今井むつみ著『AIにはない「思考力」の身につけ方 ――ことばの学びはなぜ大切なのか?
土屋うさぎ著「謎の香りはパン屋から
団まりな著「性と進化の秘密 思考する細胞たち
鴻巣友季子著「100分de名著 アトウッド『侍女の物語』『誓願』
遠藤浩二著「追跡 公安捜査
馬場康誌著「ライドンキング(15)
蒼井美紗著「図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~ 3
結城弘著,さばみぞれ絵「イマリさんは旅上戸2
島泰三著「魚食の人類史 出アフリカから日本列島へ
土井勉著「ガチャコン電車血風録 地方ローカル鉄道再生の物語
海堂尊著「新装版 チーム・バチスタの栄光
マーガレット・アトウッド著,斎藤英治訳「侍女の物語
小林昌樹著「調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス
波野涼著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上3-9
サン=テグジュペリ著,渋谷豊訳「人間の大地
武井彩佳著「歴史修正主義 ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで
いのうえひなこ著「ウェスタの台所 ―忘れたぼくの世界ごはん―(3)
野崎歓著「100分de名著 サン=テグジュペリ『人間の大地』
浜由樹子著『ネオ・ユーラシア主義 「混迷の大国」ロシアの思想
鈴よひ著,蒼井美紗原作「【まんが】図書館の天才少女(1)
海堂尊著「死因不明社会 Aiが拓く新しい医療
マーガレット・アトウッド著,鴻巣友季子訳「誓願
香月美夜著「ハンネローレの貴族院五年生 2
若宮總著「イランの地下世界
大治朋子著『「イスラエル人」の世界観
飯田一史著「町の本屋はいかにしてつぶれてきたか〜知られざる戦後書店抗争史
ベス・メイシー著,神保哲生訳「DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~
古谷博和著「幽霊の脳科学
中条省平 池澤春菜 菊地成孔 大森望共著「フィクションの超越者 筒井康隆
筒井康隆著「エロチック街道
依空まつり著「サイレント・ウィッチ(web版)
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2-13
ブラム・ストーカー著,田内志文訳「吸血鬼ドラキュラ
ポール・ギャリコ著,矢川澄子訳「ほんものの魔法使 罪のないお話
小川公代著『100分de名著 ブラム・ストーカー「ドラキュラ」
ハン・ガン著,斎藤真理子訳「回復する人間
島袋全優著「腸はなくとも食欲はある!2
ベンジャミン・ウォレス著,小林啓倫訳「サトシ・ナカモトはだれだ? 世界を変えたビットコイン発明者の正体に迫る
坂口志文,塚﨑朝子共著「免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか
熊谷雄太著,スヴェトラーナアレクシエーヴィチ原作「チェルノブイリの祈り4
ジェフリー・オヴ・モンマス著,瀬谷幸男訳「ブリタニア列王史――アーサー王ロマンス原拠の書
服部円著,子安ひかり監修「ネコは(ほぼ)液体である〜ネコ研究最前線
馬場康誌著「ライドンキング(16)
エリザベス・キューブラー・ロス著,鈴木晶訳「死ぬ瞬間 死とその過程について
蒼井美紗著「図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~ 4
仲村ひなと著,花波薫歩原作「【まんが】婚約破棄は自業自得~裏表がありすぎる妹はボロを出して自滅し、私に幸運が舞い込みました~ 1
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-11
高平尚伸著「どんなに硬い体も柔らかくなる! 名医が教えるすごいストレッチ
宮下遼著『オスマン帝国全史 「崇高なる国家」の物語 1299~1922
筒井康隆著「パプリカ
カヤ著「転生少女はまず一歩からはじめたい~魔物がいるとか聞いてない!~(web版)
井上弘貴著「アメリカの新右翼―トランプを生み出した思想家たち―
島薗進著「100分de名著 E・キューブラー・ロス 『死ぬ瞬間』
香月美夜,椎名優,鈴華,波野涼,勝木光,草壁レイ共著「本好きの下剋上 ふぁんぶっく10
草壁レイ著,香月美夜原作『【まんが】本好きの下剋上 ~ハンネローレの貴族院五年生~ 「恋してみたいお姫様」1
デイヴィッド・ホワイトハウス著,堀川志野舞訳「図書館は逃走中
筒井康隆著「脱走と追跡のサンバ
ヒュー・ロフティング著,河合祥一郎訳「新訳 ドリトル先生アフリカへ行く
ヒュー・ロフティング著,河合祥一郎訳「新訳 ドリトル先生航海記
尾花せいご著,西洋魔術博物館監修「放課後おまじない倶楽部
佐藤卓己著「あいまいさに耐える ネガティブ・リテラシーのすすめ


以上80冊でした(web版は1作を1冊とカウント)。今年も印象的な本が多かったです。なお、取り立てて共有するまでもないと感じた場合はつぶやいておらず、実際に手に取ったのは上記+14冊(計94冊)ぐらいで、今年もぜんぶ読み切りました。ちなみに今年は2月に動画再生用のラズパイ5を買ってリモコンを作ってラグビーをめっちゃ観ていたので読書量が減るかと思っていたのですが、例年とあまり変わりませんでした。
来年もいい本と出会えますように。

なお、リストアップはnotestockの日毎表示から自作のPythonスクリプトで行いました。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

パドラッパ from MacBook Air (M2)

備忘: 2024年, 2023年, 2022年, 2021年, 2020年

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