2023年 面白かった本
今年もSNSで「読了。」とつぶやいた本をまとめてみました。
先に特筆したい本を挙げていきます(リンク先は版元):
私にとって今年最大のエポックは香月美夜著「本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」小説版が完結したことです(コミカライズは絶賛継続中)。小説家になろうでのweb版連載開始から足かけ10年(連載期間は4年半)、数々の加筆修正と椎名優さんによる見事なイラストを加えた書籍版の刊行開始から足かけ8年を経てフィナーレを迎えました。私自身は6年弱のお付き合いですが、素晴らしい作品を生み出してくださった香月美夜先生と、シリーズ累計1000万部を突破するほどに育てたTOブックスさんにあらためて最大の感謝を捧げます🙇♂️ 続編・短編集そしてアニメ4期(第三部)も楽しみです🙌 現実世界に目を向けると、紛争の激化における心理戦的な要素、特に分断の深まりを感じます。昨年からのロシアによるウクライナ侵略や、今年のイスラエルによるガザへの過剰防衛でそれが目立ちます。この状況について安全保障の観点で書かれた本や記事は多かったのですが、それらと一線を画した一冊が大治朋子著『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』でした。紛争や差別などを取材してきたジャーナリストである著者の関心をとことん深掘りし、認知科学や脳科学からナラティブの意味と価値を探るとともに、現実世界において政治・軍事・医療・教育などにナラティブがどのように位置付けられ利用・活用・悪用されているか丁寧に分析して分かりやすく書かれており、その内容と力量に感嘆しました。個人的には今年最高のノンフィクションでした。 また、2023年10月21日にプラネタリウムが100周年を迎えたということで、こちらの記事でも触れた本に出会えました。ひとつは五藤光学研究所編「プラネタリウムの疑問50」、もうひとつは井上毅著「星空をつくる機械 プラネタリウム100年史」です。いずれも私が幼い頃から親しんできたプラネを魅力たっぷりに語っていて面白かったです。関連して読んだ織田作之助著「わが町」(このリンク先は青空文庫)も面白かった。 あとはマンガを2つ。ひとつは著者ご自身の潰瘍性大腸炎および合併症との壮絶な戦いを描いたギャグエッセイである島袋全優著「腸よ鼻よ」です。たまたまニコニコ漫画で見かけた作品ロゴの鼻カニューレに親近感をもって読み始め、未完の怪作になる危険を幾度となく感じつつGANMA!(ガンマ)のアプリで読んでいましたが、見事に大団円を迎えました(もう安心して読めますよ)。もうひとつは、あれっくす著「私の魔法の先生は魔法が使えない」です。これもニコニコ漫画で見かけた「ゆるふわ」なファンタジーだったのですが、次第に電子工学のディープなネタを交えてきて前のめりに読むようになり、今では先行して1話ずつ掲載され作者とダイレクトに繋がるpixivFANBOXをフォローしています。最近は特許を中心に取り上げていて、一段と面白くなってきました。
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想つぶやき):
藤本ひとみ著「鑑定医シャルル 1-3」
鴉ぴえろ著「転生王女と天才令嬢の魔法革命 Web版」
北條民雄著「いのちの初夜」
牧野淳一郎著「原発事故と科学的方法」
島袋全優著「脱・陰キャで事故プロデュース」
渡辺賢治著『漢方医学「同病異治」の哲学』
アルベルト・アンジェラ著,関口英子訳「古代ローマ人の24時間」
島袋全優著「腸よ鼻よ8」
アンデルヨン著「絹の糸とかぎ針で編む 四季の草花アクセサリー」
--- ここまでTwitter、ここからMastodonへ切り替え --- 荒木あかね著「此の世の果ての殺人」
馬場康誌著「ライドンキング(10)」
maki,菊水電子著「俺の後輩が可愛いのはたぶん何かの間違いだ マンガでわかる直流安定化電源 入門編」
アレクシエーヴィチ原作,小梅けいと著「戦争は女の顔をしていない 4」
バルザック著,中村佳子訳「ゴリオ爺さん」
香月美夜著「本好きの下剋上 第五部11」
斎藤幸平著『100分de名著「精神現象学」』
大塚健太作,出口かずみ絵,鈴木俊貴監修「にんじゃ シジュウカラのすけ」
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-6」
中井久夫著「最終講義」
リン・トラス著,玉木亨訳「図書館司書と不死の猫」
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2-9」
篠田謙一著『人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』
松本清張著「砂の器(上下)」
鈴木エイト著「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」
新田次郎著「氷原・非情のブリザード」
井上正幸著「これまでになかったラグビー防御戦術の教科書」
日野行介著「原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓」
坂本龍一著「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
竹岡葉月,おかざきおか著「おいしいベランダ。 亜潟家のアラカルト」
大治朋子著『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』
大江健三郎著「ヒロシマ・ノート」
鷲田清一,山極寿一著「都市と野生の思考」
小野寺拓也,田野大輔共著『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』
米澤穂信著「可燃物」
市川沙央著「ハンチバック」
後藤光学研究所編「プラネタリウムの疑問50」
スティーヴンWホーキング著,佐藤勝彦監修,塩原通緒訳「ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義」
島袋全優著「腸よ鼻よ 9」
デイヴィッド・パトリカラコス著,江口泰子訳,安田純平解説「140字の戦争 SNSが戦場を変えた」
山極寿一,鈴木俊貴共著「動物たちは何をしゃべっているのか?」
トマ・ピケティ著,村井章子訳「自然、文化、そして不平等 -- 国際比較と歴史の視点から」
月星光博著「知っててよかった! 歯のけが 口のけが」
アイリーンMペパーバーグ著,佐柳信男訳,鈴木俊貴解説「アレックスと私」
井上正幸著「もっともわかりやすいラグビー戦術入門ガイド」
竹岡葉月,おかざきおか著「おいしいベランダ。 亜潟家のポートレート」
波野涼著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上3-7」
あれっくす著「私の魔法の先生は魔法が使えない」
島袋全優著「腸よ鼻よ 10」
廣野由美子著『100分de名著「シャーロック・ホームズ スペシャル」』
黒川祐次著「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」
朝日新聞政治部著「鵺の政権 ドキュメント岸田官邸620日」
小野昌弘著『免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界』
尾身茂著「1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録」
香月美夜,鈴華,波野涼,勝木光共著「本好きの下剋上 ふぁんぶっく8」
よしもとばなな著「すばらしい日々」
井上毅著「星空をつくる機械 プラネタリウム100年史」
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-7」
石川大樹,ギャル電,藤原麻里菜共著「雑に作る 電子工作で好きなものを作る近道集」
織田作之助著「わが町」
編集部編「このライトノベルがすごい!2024」
笹尾俊明著「循環経済入門 廃棄物から考える新しい経済」
渡部泰明著『100分de名著「古今和歌集」』
平田オリザ著『100分de名著「中江兆民 三酔人経綸問答」』
香月美夜著「本好きの下剋上 第五部12」
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2−10」
中江兆民著,鶴ヶ谷真一訳,山田博雄解説「三酔人経綸問答」 以上68冊です(web版は1作を1冊とカウント)。今年はフランスでのラグビーワールドカップ・RWC2023🏉で9〜10月と生活リズムが狂いまくりだった割に減りませんでした。物語が少なめだったのは世相に引っぱられたかも知れません。なお、取り立てて共有するまでもないと感じた場合はつぶやいておらず、実際に手に取ったのは上記+23冊(計91冊)ぐらいですが、今年もぜんぶ読み切りました。
来年もいい本と出会えますように。 なお、リストアップにはTwilogおよびnotestockと、自作のPythonスクリプトを組み合わせて使っています。notestockの一括検索は多少の漏れがあるのとBeautifulSoupでスクレイピングできなかったのとで、日毎表示から抽出しました。また、情報整理アプリをEvernoteからUpNoteへ移行したことで溜め込んでいたノートが一気に整理でき、読書管理しやすくなりました。 それでは皆様、よいお年をお迎えください。 パドラッパ from MacBook Air (2017) 備忘: 2022年, 2021年, 2020年
私にとって今年最大のエポックは香月美夜著「本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」小説版が完結したことです(コミカライズは絶賛継続中)。小説家になろうでのweb版連載開始から足かけ10年(連載期間は4年半)、数々の加筆修正と椎名優さんによる見事なイラストを加えた書籍版の刊行開始から足かけ8年を経てフィナーレを迎えました。私自身は6年弱のお付き合いですが、素晴らしい作品を生み出してくださった香月美夜先生と、シリーズ累計1000万部を突破するほどに育てたTOブックスさんにあらためて最大の感謝を捧げます🙇♂️ 続編・短編集そしてアニメ4期(第三部)も楽しみです🙌 現実世界に目を向けると、紛争の激化における心理戦的な要素、特に分断の深まりを感じます。昨年からのロシアによるウクライナ侵略や、今年のイスラエルによるガザへの過剰防衛でそれが目立ちます。この状況について安全保障の観点で書かれた本や記事は多かったのですが、それらと一線を画した一冊が大治朋子著『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』でした。紛争や差別などを取材してきたジャーナリストである著者の関心をとことん深掘りし、認知科学や脳科学からナラティブの意味と価値を探るとともに、現実世界において政治・軍事・医療・教育などにナラティブがどのように位置付けられ利用・活用・悪用されているか丁寧に分析して分かりやすく書かれており、その内容と力量に感嘆しました。個人的には今年最高のノンフィクションでした。 また、2023年10月21日にプラネタリウムが100周年を迎えたということで、こちらの記事でも触れた本に出会えました。ひとつは五藤光学研究所編「プラネタリウムの疑問50」、もうひとつは井上毅著「星空をつくる機械 プラネタリウム100年史」です。いずれも私が幼い頃から親しんできたプラネを魅力たっぷりに語っていて面白かったです。関連して読んだ織田作之助著「わが町」(このリンク先は青空文庫)も面白かった。 あとはマンガを2つ。ひとつは著者ご自身の潰瘍性大腸炎および合併症との壮絶な戦いを描いたギャグエッセイである島袋全優著「腸よ鼻よ」です。たまたまニコニコ漫画で見かけた作品ロゴの鼻カニューレに親近感をもって読み始め、未完の怪作になる危険を幾度となく感じつつGANMA!(ガンマ)のアプリで読んでいましたが、見事に大団円を迎えました(もう安心して読めますよ)。もうひとつは、あれっくす著「私の魔法の先生は魔法が使えない」です。これもニコニコ漫画で見かけた「ゆるふわ」なファンタジーだったのですが、次第に電子工学のディープなネタを交えてきて前のめりに読むようになり、今では先行して1話ずつ掲載され作者とダイレクトに繋がるpixivFANBOXをフォローしています。最近は特許を中心に取り上げていて、一段と面白くなってきました。
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想つぶやき):
藤本ひとみ著「鑑定医シャルル 1-3」
鴉ぴえろ著「転生王女と天才令嬢の魔法革命 Web版」
北條民雄著「いのちの初夜」
牧野淳一郎著「原発事故と科学的方法」
島袋全優著「脱・陰キャで事故プロデュース」
渡辺賢治著『漢方医学「同病異治」の哲学』
アルベルト・アンジェラ著,関口英子訳「古代ローマ人の24時間」
島袋全優著「腸よ鼻よ8」
アンデルヨン著「絹の糸とかぎ針で編む 四季の草花アクセサリー」
--- ここまでTwitter、ここからMastodonへ切り替え --- 荒木あかね著「此の世の果ての殺人」
馬場康誌著「ライドンキング(10)」
maki,菊水電子著「俺の後輩が可愛いのはたぶん何かの間違いだ マンガでわかる直流安定化電源 入門編」
アレクシエーヴィチ原作,小梅けいと著「戦争は女の顔をしていない 4」
バルザック著,中村佳子訳「ゴリオ爺さん」
香月美夜著「本好きの下剋上 第五部11」
斎藤幸平著『100分de名著「精神現象学」』
大塚健太作,出口かずみ絵,鈴木俊貴監修「にんじゃ シジュウカラのすけ」
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-6」
中井久夫著「最終講義」
リン・トラス著,玉木亨訳「図書館司書と不死の猫」
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2-9」
篠田謙一著『人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』
松本清張著「砂の器(上下)」
鈴木エイト著「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」
新田次郎著「氷原・非情のブリザード」
井上正幸著「これまでになかったラグビー防御戦術の教科書」
日野行介著「原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓」
坂本龍一著「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
竹岡葉月,おかざきおか著「おいしいベランダ。 亜潟家のアラカルト」
大治朋子著『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』
大江健三郎著「ヒロシマ・ノート」
鷲田清一,山極寿一著「都市と野生の思考」
小野寺拓也,田野大輔共著『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』
米澤穂信著「可燃物」
市川沙央著「ハンチバック」
後藤光学研究所編「プラネタリウムの疑問50」
スティーヴンWホーキング著,佐藤勝彦監修,塩原通緒訳「ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義」
島袋全優著「腸よ鼻よ 9」
デイヴィッド・パトリカラコス著,江口泰子訳,安田純平解説「140字の戦争 SNSが戦場を変えた」
山極寿一,鈴木俊貴共著「動物たちは何をしゃべっているのか?」
トマ・ピケティ著,村井章子訳「自然、文化、そして不平等 -- 国際比較と歴史の視点から」
月星光博著「知っててよかった! 歯のけが 口のけが」
アイリーンMペパーバーグ著,佐柳信男訳,鈴木俊貴解説「アレックスと私」
井上正幸著「もっともわかりやすいラグビー戦術入門ガイド」
竹岡葉月,おかざきおか著「おいしいベランダ。 亜潟家のポートレート」
波野涼著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上3-7」
あれっくす著「私の魔法の先生は魔法が使えない」
島袋全優著「腸よ鼻よ 10」
廣野由美子著『100分de名著「シャーロック・ホームズ スペシャル」』
黒川祐次著「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」
朝日新聞政治部著「鵺の政権 ドキュメント岸田官邸620日」
小野昌弘著『免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界』
尾身茂著「1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録」
香月美夜,鈴華,波野涼,勝木光共著「本好きの下剋上 ふぁんぶっく8」
よしもとばなな著「すばらしい日々」
井上毅著「星空をつくる機械 プラネタリウム100年史」
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-7」
石川大樹,ギャル電,藤原麻里菜共著「雑に作る 電子工作で好きなものを作る近道集」
織田作之助著「わが町」
編集部編「このライトノベルがすごい!2024」
笹尾俊明著「循環経済入門 廃棄物から考える新しい経済」
渡部泰明著『100分de名著「古今和歌集」』
平田オリザ著『100分de名著「中江兆民 三酔人経綸問答」』
香月美夜著「本好きの下剋上 第五部12」
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2−10」
中江兆民著,鶴ヶ谷真一訳,山田博雄解説「三酔人経綸問答」 以上68冊です(web版は1作を1冊とカウント)。今年はフランスでのラグビーワールドカップ・RWC2023🏉で9〜10月と生活リズムが狂いまくりだった割に減りませんでした。物語が少なめだったのは世相に引っぱられたかも知れません。なお、取り立てて共有するまでもないと感じた場合はつぶやいておらず、実際に手に取ったのは上記+23冊(計91冊)ぐらいですが、今年もぜんぶ読み切りました。
来年もいい本と出会えますように。 なお、リストアップにはTwilogおよびnotestockと、自作のPythonスクリプトを組み合わせて使っています。notestockの一括検索は多少の漏れがあるのとBeautifulSoupでスクレイピングできなかったのとで、日毎表示から抽出しました。また、情報整理アプリをEvernoteからUpNoteへ移行したことで溜め込んでいたノートが一気に整理でき、読書管理しやすくなりました。 それでは皆様、よいお年をお迎えください。 パドラッパ from MacBook Air (2017) 備忘: 2022年, 2021年, 2020年
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