電流測定用ハイサイドI/Vコンバータとセンサ端末の検証(続き)【2025/02/08追記・2026/04/23補足】
NiMH電池駆動の無線センサ端末が単3エネループ2本で3日しか持たず、数ヶ月もたせたいと思いながら改善したところ
想定以上の改善になりました。それが何故かを確かめるため、7月にハイサイドI/Vコンバータを作りました。
このコンバータは思った通りにできたのですが、肝心の無線センサ端末を測ってみると改善度合いは21倍程度。その時点で既に117日(3日の39倍)経過して余裕があったので、他にも電池もちが良くなった要因があることは明白でしたが、次の3点について検討した結果ほぼ説明が付くようになってきました:
1. 低電流測定ができていない
2. 測定に用いた回路・モジュールに問題がある
3. 電池(エネループ)の放電特性を誤解している 1. すぐに考えたのは低電流が測れていないことです。センサのアイドリング電流(約0.8mA)は検知できていたものの、オシロでオフセットが約0.2mA見えていたこともあり、いまひとつ自信が持てる値ではありませんでした。
そこでI/Vコンバータの増幅率を1mA→100mVの100倍から、一時的に1000倍にできるように改造しました。この場合、センサ端末の初期化で約8mA流れる時には差動増幅の出力が電源電圧6Vを超えてクリップしますが、アイドリングの0.8mAは80mVだったものが0.8Vまで増幅されるので明確に測れるようになります。
改造方法としては、差動増幅の入力抵抗に並列に抵抗が入れられるようにしました。回路図は次の通りで、点線で囲まれた1kΩを入れることで入力抵抗が10kΩから0.909kΩになり、増幅率としては1100/0.909で1210倍、これをボリュームで調整して校正する回路です:

現物を上から見た写真では、上側と右側に並列抵抗がはみ出しています:

下から見ると、抵抗を入れたいところにピンソケットを付け、抵抗をはんだ付けしたピンヘッダを付け外しできるようにしています(見えにくくてすみません):

ソケット+ヘッダを使ったのは、ピンソケットに抵抗のリード線を直接挿すのでは接触が怪しいからです。 2. 前回の実験を終えて記事を書いてから気が付いたのですが、ブレッドボードに載せていたXIAO nRF52840 Senseは購入してあれこれと実験していたときにVBAT端子のリーク電流が大きかったのでした。Li-Po電池の検討などをしていた時に、いわゆるEOS(Electrical Over Stress、電気的過負荷)で微妙な破壊が起きてリークパスを作ってしまったのだと思います(普通に使えていたので忘れていました)。
手持ちの新しいXIAOを使ったところ、5V動作の電流は変わらなかったものの、VBAT端子から3.3V入力した場合は大幅に異なりました。大部分の時間を占めるアイドリング電流が前のXIAOで0.75mAだったところ、新しいXIAOでは0.22mAでした。約0.5mAのリークがあったことになります。ちなみに5V動作のアイドリング電流は16mAです。
「改善検討前後の倍率」でいうと、前のXIAOでは16/0.75で21倍に見えていましたが、正しくは16/0.22で72倍だったようです。
なお、3.3V動作のアイドリング電流はI/Vコンバータの利得を変えてみても同じ値が観測できました。即ち100倍の状態で0.2mAレベルが正確に測れていました。 3. 電池(エネループ)の放電特性については、公式WEBにあるような図と説明をよく見ることから、公称電圧(1.2V)まで落ちてから維持するものだと思い込んでいましたし、改造前のセンサ端末ではそのような挙動でした。しかし、次のグラフのように最近(2023/9/19, 172日目に)1.2Vになった前から電圧が落ちはじめていて、考え違いしていたことに気が付きました:

例えば保存状態の場合、初期電圧に近い状態を長く維持して、やがて気が付いたら使えなくなっている、という状況になると思います。それと同様に負荷が軽い(消費電力が小さい)場合は端子電圧が「公称電圧」よりも高い状態で推移するのでしょう。なお、このグラフでは検討前後の横軸を測定したアイドリング電流比の72倍に取っています。おそらく現物では定期的に送信していることなどの動作条件の違いでピッタリ72倍にはならないと思いますが、参考程度には合っている感じがします。
また、前回の検討のように「同じ電圧に達する時間の比」を取るのはナンセンスだったと今では考えています。その、意味の無いグラフは現状こうなっています:
エネループ2本で無線センサを動かすのに、効率のいいDC/DCコンバータを使ってSeeed XIAO nRF52840 SenseのVBATへ3.3V供給する、というアイデアはよかったものの、どれほどの効果があるのかがハッキリしませんでした。結果として、元は3日程度だったところが半年はもちそうだ、というところです。電池切れ(20%、1.15V以下)に達したらまとめてレポートしようと思います。
以上、何かの参考になれば幸いです。
パドラッパ from MacBook Air (2017)
ps. リタイアして何年も経ってからEOSなんて言葉を使うとは思いませんでした(苦笑)。
【2025/02/08追記・2026/04/23補足】
Seeed Studio XIAO nRF52840 SenseをNiMH電池で動かすシリーズが不定期連載のようになってしまって前後関係が分かりにくいことにアクセス履歴を見て気が付きました。次のような構成になっていますので、適宜ご参照下さい:
1. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(の中間報告)」
…回路設計上のポイントはこちらにまとまっています
2. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(中間報告2)」
…報告1の段階で考えていたより電池もちが良さそうに見えて(いまから思えば)見当違いのことを考えていた記録
3. 「電流測定用にハイサイドI/Vコンバータを作ってみました」
…電池もちについて検討するための治具を作った話
4. 「電流測定用ハイサイドI/Vコンバータとセンサ端末の検証(続き)(←この記事)」
…治具のレンジ拡大と精度確認を踏まえた電池もちの検討(「公称電圧」をアテにしてはいけないという学び)
5. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(完結編)」
…ようやく半年かかって電池切れになった、という結果を踏まえた整理
6. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(その後)」
…その後、電池が切れるたびに情報追加しています。現時点で3回2026/04/23現在で6回、ちょうど半年もっています
このコンバータは思った通りにできたのですが、肝心の無線センサ端末を測ってみると改善度合いは21倍程度。その時点で既に117日(3日の39倍)経過して余裕があったので、他にも電池もちが良くなった要因があることは明白でしたが、次の3点について検討した結果ほぼ説明が付くようになってきました:
1. 低電流測定ができていない
2. 測定に用いた回路・モジュールに問題がある
3. 電池(エネループ)の放電特性を誤解している 1. すぐに考えたのは低電流が測れていないことです。センサのアイドリング電流(約0.8mA)は検知できていたものの、オシロでオフセットが約0.2mA見えていたこともあり、いまひとつ自信が持てる値ではありませんでした。
そこでI/Vコンバータの増幅率を1mA→100mVの100倍から、一時的に1000倍にできるように改造しました。この場合、センサ端末の初期化で約8mA流れる時には差動増幅の出力が電源電圧6Vを超えてクリップしますが、アイドリングの0.8mAは80mVだったものが0.8Vまで増幅されるので明確に測れるようになります。
改造方法としては、差動増幅の入力抵抗に並列に抵抗が入れられるようにしました。回路図は次の通りで、点線で囲まれた1kΩを入れることで入力抵抗が10kΩから0.909kΩになり、増幅率としては1100/0.909で1210倍、これをボリュームで調整して校正する回路です:

現物を上から見た写真では、上側と右側に並列抵抗がはみ出しています:

下から見ると、抵抗を入れたいところにピンソケットを付け、抵抗をはんだ付けしたピンヘッダを付け外しできるようにしています(見えにくくてすみません):

ソケット+ヘッダを使ったのは、ピンソケットに抵抗のリード線を直接挿すのでは接触が怪しいからです。 2. 前回の実験を終えて記事を書いてから気が付いたのですが、ブレッドボードに載せていたXIAO nRF52840 Senseは購入してあれこれと実験していたときにVBAT端子のリーク電流が大きかったのでした。Li-Po電池の検討などをしていた時に、いわゆるEOS(Electrical Over Stress、電気的過負荷)で微妙な破壊が起きてリークパスを作ってしまったのだと思います(普通に使えていたので忘れていました)。
手持ちの新しいXIAOを使ったところ、5V動作の電流は変わらなかったものの、VBAT端子から3.3V入力した場合は大幅に異なりました。大部分の時間を占めるアイドリング電流が前のXIAOで0.75mAだったところ、新しいXIAOでは0.22mAでした。約0.5mAのリークがあったことになります。ちなみに5V動作のアイドリング電流は16mAです。
「改善検討前後の倍率」でいうと、前のXIAOでは16/0.75で21倍に見えていましたが、正しくは16/0.22で72倍だったようです。
なお、3.3V動作のアイドリング電流はI/Vコンバータの利得を変えてみても同じ値が観測できました。即ち100倍の状態で0.2mAレベルが正確に測れていました。 3. 電池(エネループ)の放電特性については、公式WEBにあるような図と説明をよく見ることから、公称電圧(1.2V)まで落ちてから維持するものだと思い込んでいましたし、改造前のセンサ端末ではそのような挙動でした。しかし、次のグラフのように最近(2023/9/19, 172日目に)1.2Vになった前から電圧が落ちはじめていて、考え違いしていたことに気が付きました:

例えば保存状態の場合、初期電圧に近い状態を長く維持して、やがて気が付いたら使えなくなっている、という状況になると思います。それと同様に負荷が軽い(消費電力が小さい)場合は端子電圧が「公称電圧」よりも高い状態で推移するのでしょう。なお、このグラフでは検討前後の横軸を測定したアイドリング電流比の72倍に取っています。おそらく現物では定期的に送信していることなどの動作条件の違いでピッタリ72倍にはならないと思いますが、参考程度には合っている感じがします。
また、前回の検討のように「同じ電圧に達する時間の比」を取るのはナンセンスだったと今では考えています。その、意味の無いグラフは現状こうなっています:
エネループ2本で無線センサを動かすのに、効率のいいDC/DCコンバータを使ってSeeed XIAO nRF52840 SenseのVBATへ3.3V供給する、というアイデアはよかったものの、どれほどの効果があるのかがハッキリしませんでした。結果として、元は3日程度だったところが半年はもちそうだ、というところです。電池切れ(20%、1.15V以下)に達したらまとめてレポートしようと思います。
以上、何かの参考になれば幸いです。
パドラッパ from MacBook Air (2017)
ps. リタイアして何年も経ってからEOSなんて言葉を使うとは思いませんでした(苦笑)。
【2025/02/08追記・2026/04/23補足】Seeed Studio XIAO nRF52840 SenseをNiMH電池で動かすシリーズが不定期連載のようになってしまって前後関係が分かりにくいことにアクセス履歴を見て気が付きました。次のような構成になっていますので、適宜ご参照下さい:
1. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(の中間報告)」
…回路設計上のポイントはこちらにまとまっています
2. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(中間報告2)」
…報告1の段階で考えていたより電池もちが良さそうに見えて(いまから思えば)見当違いのことを考えていた記録
3. 「電流測定用にハイサイドI/Vコンバータを作ってみました」
…電池もちについて検討するための治具を作った話
4. 「電流測定用ハイサイドI/Vコンバータとセンサ端末の検証(続き)(←この記事)」
…治具のレンジ拡大と精度確認を踏まえた電池もちの検討(「公称電圧」をアテにしてはいけないという学び)
5. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(完結編)」
…ようやく半年かかって電池切れになった、という結果を踏まえた整理
6. 「Seeed XIAO nRF52840をNiMH電池で動かす一方法(その後)」
…その後、電池が切れるたびに情報追加しています。
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