2021年 面白かった本
今年「読了。」と呟いた本をまとめてみました。いま思い返しても面白かった(読んでよかったと思える)本ばかりです。
先に特筆したい本を挙げると(読んだ順、リンク先は版元):
添田孝史著「東電原発事故 10年で明らかになったこと」…記憶の薄れるままに責任の所在が曖昧にされがちなところ、裁判傍聴や情報開示を通して執拗に追い続けている中間的なまとめ。これぞジャーナリズム。
劉慈欣著,大森望,ワンチャイ,光吉さくら,泊功訳「三体Ⅲ 死神永生 上・下」…シリーズ堂々完結!とにかくスケールが大きかったですね。あらためて最初から読み直し、とても楽しめました。
竹岡葉月・おかざきおか著「おいしいベランダ。10」…こちらもシリーズ堂々完結!ずっと近所のオジサン目線で見守ってきて、爽やかな涙で締めくくれたのが良かったです。個人的には東京から神戸に舞台が移った辺りで盛り上がりました。
高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」…少し前の本がやっと読めたもの。コロナに感染した手記で有名になってしまわれましたが(Sessionも面白かった)、この骨太のドキュメンタリーが真骨頂かと。
ペニー・ジョエルソン著,河井直子訳「秘密をもてないわたし」…脳性まひでフル介護を受けている少女の目線で語られるミステリーが新鮮。社会やAAC(拡大・代替コミュニケーション)機器の知見も広がりました。
LMモンゴメリ著,松本侑子訳・文春文庫版「赤毛のアン」…小学校の図書室で読んだ記憶は「綺麗な景色と美味しいお菓子」。いま読むと、帝国主義の拡張と共産主義の勃興で脅かされるキリスト教的価値観の抵抗。こんなにも見え方って変わるものだと驚きつつ、楽しみました。そういえば「小公女」が少し前の時代で、連続して捉えても面白いです。
作者不詳,古川日出男訳「平家物語」…まもなく放送されるアニメの底本。いま思うと源頼朝の死後に財力と権力のあるインテリが編纂して琵琶法師に流布させた語りとも考えられ、なかなか興味深いです。
…昨年はハヤカワさんの独壇場でしたが、今年は結構バリエーションが出たかな。あと、ノンフィクションの「資本主義だけ残った」や『消えた「四島返還」』などもすごく良かったのですが、ちょっとキリが無くなるので、この辺としました。 なお香月美夜著「本好きの下剋上」シリーズは別格です。今年は本編3冊、短編集1冊(ジュニア文庫)、ふぁんぶっく1冊、コミックス6冊の計11冊を発売日に読みました。特に勝木光先生によるコミカライズ第四部がニコニコ漫画 年間ランキング2021 公式マンガ部門ベスト10に入ってめでたい限り。また、来年4月からのアニメ第3期も楽しみです。
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想ツイート):
藤野可織著「ピエタとトランジ <完全版>」
犬塚則久著「恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界」
アフマド・サアダーウィー著,柳谷あゆみ訳「バグダードのフランケンシュタイン」
遠藤麻理ナビゲート「ラジオを止めるな!」
高田大介著「図書館の魔女 1-4」
茜灯里著「馬疫」
トーベ・ヤンソン文・絵,冨原眞弓訳「小さなトロールと大きな洪水」
トーベ・ヤンソン文・絵,下村隆一訳「新装版 ムーミン谷の彗星」
宇佐見りん著「推し、燃ゆ」
山中たつはる著「コロナ禍で見えてきたおかしな専門家と知識人−非科学的なコロナウイルスPCR検査抑制論」
壇俊光著「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」
添田孝史著「東電原発事故 10年で明らかになったこと」
桜木武史,武田一義著「シリアの戦争で、友だちが死んだ」
安田陽著「世界の再生可能エネルギーと電力システム 電力市場編」
今尾恵介著「地図帳の深読み」
川端裕人著『「色のふしぎ」と不思議な社会─2020年代の「色覚」原論』
クリフ・クアン,ロバート・ファブリカント共著,尼丁千津子訳『「ユーザーフレンドリー」全史』
バーネット著,杉田七重訳「小公女セーラ」
岩船晶著,戸部淑絵「ポーション、わが身を助ける 1-7」
マイケルサンデル著,鬼澤忍訳,本田由紀解説「実力も運のうち 能力主義は正義か?」
千春著「めぐる。」
佐藤圭一,冨田武照共著「寝てもサメても 深層サメ学」
劉慈欣著,大森望,ワンチャイ,光吉さくら,泊功訳「三体Ⅲ 死神永生 上下」
米澤穂信著「黒牢城」
枝野幸男著「枝野ビジョン 支え合う日本」
堀辰雄著「風立ちぬ」
綾屋紗月,熊谷晋一郎共著「つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく」
金井利之著「コロナ対策禍の国と自治体―災害行政の迷走と閉塞」
竹岡葉月・おかざきおか著「おいしいベランダ。10」
本間希樹著『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』
ブランコ・ミラノヴィッチ著,西川美樹訳「資本主義だけ残った」
田島木綿子著「海獣学者、クジラを解剖する。」
シェルドン・テイテルバウム,エマヌエル・ロテム編「シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選」
情報文化研究所編「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」
高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」
福田雄介著「もしも人食いワニに噛まれたら!」
辻田真佐憲著「超空気支配社会」
メアリ・ロビネット・コワル著,酒井昭伸訳「火星へ 上・下」
仲野徹著「考える、書く、伝える 生きぬくための科学的思考法」
桜木武史著「【増補版】シリア 戦場からの声」
安田陽著「世界の再生可能エネルギーと電力システム 経済・政策編」
スティーブン・スローマン,フィリップ・ファーンバック共著,土方奈美訳「知ってるつもり 無知の科学」
橋爪大三郎・中田考著「中国共産党帝国とウイグル」
グレッグイーガン著,山岸真訳「ビット・プレイヤー」
内藤正典編「『新しい戦争』とメディア」
中田考著「タリバン 復権の真実」
北海道新聞社編『消えた「四島返還」』
ペニー・ジョエルソン著,河井直子訳「秘密をもてないわたし」
福井県立図書館著・編「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」
伊藤亜紗著「目の見えない人は世界をどう見ているのか」
長谷川眞理子著「ダーウィン 種の起源 未来へつづく進化論」
銀泥著「パティシエさんとお嬢さん 1-2」
LMモンゴメリ著,松本侑子訳・文春文庫版「赤毛のアン」
カティ・マートン著,倉田幸信森嶋マリ訳「メルケル 世界一の宰相」
作者不詳,古川日出男訳「平家物語」
伊藤忠夫著「京都空襲 -8888フライト- 米軍資料から見た記録」 以上、68冊と本好き11冊で、合計79冊が「面白かった本」でした。今年はBeautiful Soupでスクレイピングしたので、リストアップが一瞬でできました。
実際に読んだのは+6冊ほどです。実は正月から春にかけて立て続けに「ハズレ」を引いていたのですが、その後いい本に多く出会えて良かったです。あと、「なろう」で連載を追っている作品は多数ありますが、今年完結したのは掌編ひとつだけでした(たぶん)。あと「片岡義男 全著作電子化計画」から読んだのは数冊かな(すでに把握できない)。 それでは皆様、よいお年をお迎えください。 パドラッパ from MacBook Air (2017)
添田孝史著「東電原発事故 10年で明らかになったこと」…記憶の薄れるままに責任の所在が曖昧にされがちなところ、裁判傍聴や情報開示を通して執拗に追い続けている中間的なまとめ。これぞジャーナリズム。
劉慈欣著,大森望,ワンチャイ,光吉さくら,泊功訳「三体Ⅲ 死神永生 上・下」…シリーズ堂々完結!とにかくスケールが大きかったですね。あらためて最初から読み直し、とても楽しめました。
竹岡葉月・おかざきおか著「おいしいベランダ。10」…こちらもシリーズ堂々完結!ずっと近所のオジサン目線で見守ってきて、爽やかな涙で締めくくれたのが良かったです。個人的には東京から神戸に舞台が移った辺りで盛り上がりました。
高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」…少し前の本がやっと読めたもの。コロナに感染した手記で有名になってしまわれましたが(Sessionも面白かった)、この骨太のドキュメンタリーが真骨頂かと。
ペニー・ジョエルソン著,河井直子訳「秘密をもてないわたし」…脳性まひでフル介護を受けている少女の目線で語られるミステリーが新鮮。社会やAAC(拡大・代替コミュニケーション)機器の知見も広がりました。
LMモンゴメリ著,松本侑子訳・文春文庫版「赤毛のアン」…小学校の図書室で読んだ記憶は「綺麗な景色と美味しいお菓子」。いま読むと、帝国主義の拡張と共産主義の勃興で脅かされるキリスト教的価値観の抵抗。こんなにも見え方って変わるものだと驚きつつ、楽しみました。そういえば「小公女」が少し前の時代で、連続して捉えても面白いです。
作者不詳,古川日出男訳「平家物語」…まもなく放送されるアニメの底本。いま思うと源頼朝の死後に財力と権力のあるインテリが編纂して琵琶法師に流布させた語りとも考えられ、なかなか興味深いです。
…昨年はハヤカワさんの独壇場でしたが、今年は結構バリエーションが出たかな。あと、ノンフィクションの「資本主義だけ残った」や『消えた「四島返還」』などもすごく良かったのですが、ちょっとキリが無くなるので、この辺としました。 なお香月美夜著「本好きの下剋上」シリーズは別格です。今年は本編3冊、短編集1冊(ジュニア文庫)、ふぁんぶっく1冊、コミックス6冊の計11冊を発売日に読みました。特に勝木光先生によるコミカライズ第四部がニコニコ漫画 年間ランキング2021 公式マンガ部門ベスト10に入ってめでたい限り。また、来年4月からのアニメ第3期も楽しみです。
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想ツイート):
藤野可織著「ピエタとトランジ <完全版>」
犬塚則久著「恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界」
アフマド・サアダーウィー著,柳谷あゆみ訳「バグダードのフランケンシュタイン」
遠藤麻理ナビゲート「ラジオを止めるな!」
高田大介著「図書館の魔女 1-4」
茜灯里著「馬疫」
トーベ・ヤンソン文・絵,冨原眞弓訳「小さなトロールと大きな洪水」
トーベ・ヤンソン文・絵,下村隆一訳「新装版 ムーミン谷の彗星」
宇佐見りん著「推し、燃ゆ」
山中たつはる著「コロナ禍で見えてきたおかしな専門家と知識人−非科学的なコロナウイルスPCR検査抑制論」
壇俊光著「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」
添田孝史著「東電原発事故 10年で明らかになったこと」
桜木武史,武田一義著「シリアの戦争で、友だちが死んだ」
安田陽著「世界の再生可能エネルギーと電力システム 電力市場編」
今尾恵介著「地図帳の深読み」
川端裕人著『「色のふしぎ」と不思議な社会─2020年代の「色覚」原論』
クリフ・クアン,ロバート・ファブリカント共著,尼丁千津子訳『「ユーザーフレンドリー」全史』
バーネット著,杉田七重訳「小公女セーラ」
岩船晶著,戸部淑絵「ポーション、わが身を助ける 1-7」
マイケルサンデル著,鬼澤忍訳,本田由紀解説「実力も運のうち 能力主義は正義か?」
千春著「めぐる。」
佐藤圭一,冨田武照共著「寝てもサメても 深層サメ学」
劉慈欣著,大森望,ワンチャイ,光吉さくら,泊功訳「三体Ⅲ 死神永生 上下」
米澤穂信著「黒牢城」
枝野幸男著「枝野ビジョン 支え合う日本」
堀辰雄著「風立ちぬ」
綾屋紗月,熊谷晋一郎共著「つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく」
金井利之著「コロナ対策禍の国と自治体―災害行政の迷走と閉塞」
竹岡葉月・おかざきおか著「おいしいベランダ。10」
本間希樹著『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』
ブランコ・ミラノヴィッチ著,西川美樹訳「資本主義だけ残った」
田島木綿子著「海獣学者、クジラを解剖する。」
シェルドン・テイテルバウム,エマヌエル・ロテム編「シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選」
情報文化研究所編「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」
高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」
福田雄介著「もしも人食いワニに噛まれたら!」
辻田真佐憲著「超空気支配社会」
メアリ・ロビネット・コワル著,酒井昭伸訳「火星へ 上・下」
仲野徹著「考える、書く、伝える 生きぬくための科学的思考法」
桜木武史著「【増補版】シリア 戦場からの声」
安田陽著「世界の再生可能エネルギーと電力システム 経済・政策編」
スティーブン・スローマン,フィリップ・ファーンバック共著,土方奈美訳「知ってるつもり 無知の科学」
橋爪大三郎・中田考著「中国共産党帝国とウイグル」
グレッグイーガン著,山岸真訳「ビット・プレイヤー」
内藤正典編「『新しい戦争』とメディア」
中田考著「タリバン 復権の真実」
北海道新聞社編『消えた「四島返還」』
ペニー・ジョエルソン著,河井直子訳「秘密をもてないわたし」
福井県立図書館著・編「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」
伊藤亜紗著「目の見えない人は世界をどう見ているのか」
長谷川眞理子著「ダーウィン 種の起源 未来へつづく進化論」
銀泥著「パティシエさんとお嬢さん 1-2」
LMモンゴメリ著,松本侑子訳・文春文庫版「赤毛のアン」
カティ・マートン著,倉田幸信森嶋マリ訳「メルケル 世界一の宰相」
作者不詳,古川日出男訳「平家物語」
伊藤忠夫著「京都空襲 -8888フライト- 米軍資料から見た記録」 以上、68冊と本好き11冊で、合計79冊が「面白かった本」でした。今年はBeautiful Soupでスクレイピングしたので、リストアップが一瞬でできました。
実際に読んだのは+6冊ほどです。実は正月から春にかけて立て続けに「ハズレ」を引いていたのですが、その後いい本に多く出会えて良かったです。あと、「なろう」で連載を追っている作品は多数ありますが、今年完結したのは掌編ひとつだけでした(たぶん)。あと「片岡義男 全著作電子化計画」から読んだのは数冊かな(すでに把握できない)。 それでは皆様、よいお年をお迎えください。 パドラッパ from MacBook Air (2017)
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