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2020年11月

2020/11/24

ASUSからTinker Board 2/2Sが出るようです(2021/01/14追記)

Raspberry Piと似た外形(あるいは全く外形互換)のSBC(Single Board Computer)はたくさん出ています(古い記事で失礼)が、私は2017年の秋からASUSのTinkerBoardを宅内の各種サーバーとして使っています(具体的にはApache, samba, 温湿度ログなど)。いまから思えば、2017年8月に国内発売されてすぐ買っていたことから、微妙にラズパイへ不満があったようです。実際に入手した頃のtwitterを見ると、最初トラブったものの、動き出せば 速くて感心していました。

その後、あれこれ使っていても全く不安や不満が生じなかったので、バックアップ 兼 開発用にもう1台買っていたのですが、先日GPIOで新しいことをしようとした時に2台目の挙動が不安定だったので、16GBのeMMCを載せて起動がちょっと速くなった他はほとんど仕様に変化の無いTinkerBoard Sを入手したのですが、これも2018年初に出たままで、もう新機種は出ないのかと寂しく思っていました。
…ちなみにこの2台目では、あの時やらかしたかも、という心当たりがないこともありません(汗
Tb02

ところが!
先週末おもむろに新機種が出るというニュースが流れました。
これによると目立つのは:
・SoC強化(Rockchip RK3288 -> RK3399
・メモリ倍増(2GB -> 4GB)
・無線強化(802.11b/g/n -> 11ac, Bluetooth 4.0+EDR -> 5.0)
・電源の互換性放棄(USBの5V -> DCジャックの12-19V:おそらくこれと同等)
・リアルタイムクロックRTC対応(詳細不明)
・空冷ファン用ヘッダ搭載(熱々が予感されて悩ましい)
・DisplayPort1.2対応のUSB Type-Cが1つ(デュアルディスプレイもスマートに対応)
といった辺りでした。
ちなみにRK3399はSnapdragon 650クラスだという記事がありました。ASUSはChromebookでも使っています。
無線部は写真によるとM.2 2230モジュールで、AzureWaveのAW-CB375NF(リンク先はデータシートPDF)を使っており、これは国内で売られているノートPCにも搭載されていることから(一例)、アンテナ次第ですが技適も特に問題無さそうです。

上記ニュースを見てあれこれ考えていたところで、ASUSの英語サイトに公式情報が上がっているのを見つけました。
大きくArmのbig.LITTLE対応とうたわれています。この技術には聞き覚えがあると思って調べたところ、かなり前(2013年!)にPC Watchで後藤弘茂さんが解説されている記事がありました。私には詳しいことは分からないのですが、記事中に "linaro"の文字列があるので、これがデフォルトユーザー名になっているTinkerBoardですから省電力化に期待したいところ。

さて、製品ページの中を見ていくと、CPU / GPU / Wi-Fiのパフォーマンスが大幅に上がっていることをアピールしています。その下に上記RTCや空冷ファンの説明がありますが、RTCはオンボードでバッテリーバックアップできるようです。これは組み込み系で使うのに嬉しい改良点だと思います。また、カードホルダはRaspberry Piと同じバネ無しのタイプになるようで、現行のTinkerBoardで動作中にmicroSDを押して抜いてしまった覚えがある身としては、「中の人」もやらかしたんだろうな、と笑ってしまいました。
また、現行Sにあるモード設定ピンヘッダ2Sにもあるようです(ファンコネクタ隣のJ3)。なお、同じヘッダが2にもあるのは、電源スイッチがSなしでも付くようになったのか、単なるミスなのか、分かりません。
次の図では、カラフルなGPIOコネクタが健在です。これ、実験するときに結構便利なので自作Arduinoクローン機でも採用したいと思いつつ、綺麗に塗れそうになくて逡巡しています。それはさておき、I/Oの安全性に気を配っておられるのに好感を持ちました(ただ、そもそもラズパイが「剣山」(花留め)でショートさせやすい構造なのが問題です)。

そして、最後の図で私は喜びに固まってしまいました。

EASY SETUP TOOLとありますが、要はBIOS設定だろうと思います(マザーボードのASUSですしね)。ここで、CPUやGPUの最高・最低周波数が設定できるとあるのですが、ということは、うちの宅内サーバーのようにある程度のパフォーマンスがあればOKな用途では最適な省電力設定も可能そうです。

Raspberry Piが典型的なのですが、新しくなるたびに消費電力が大きくなるのは面白くないと思っていました。そこにサクッとアンチテーゼを提示してくるASUSさん格好いいです。…と持ち上げましたが、私の勘違いかも知れません。

実はキーボード一体型のラズパイRaspberry Pi 400が出たら買おうかなと思っていたのですが、そのお金はTinkerBoard 2Sに取っておくことにしました。

なお、ここまで商品紹介ページの"OVERVIEW"に書かれている内容を読んできましたが、まだ"SPECIFICATIONS"と"GALLERY"は見出しだけです。
Tb2s_pageheader
ここに情報が載ることと、国内発売が楽しみです。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

ps. 公式ではTinkerとBoardの間にスペースがありますが、書きにくいので繋いでいるところが多いです(すみません)

【2020/11/27追記】
商品紹介ページの"SPECIFICATIONS"に内容が入りました。これを見ていて、3.5mmオーディオ出力が無くなっていたことに気が付きました。ファンコネクタと引き換えになってずれた形です。メモリは4GBだと報道されていましたが、2GB/4GB 2タイプの模様。

【2020/12/11追記】
上記の公式ページが404 not foundになっていましたので調べたところURLが移動していたので、こちらの記事にまとめておきました

【2021/01/14追記】
商品紹介ページのギャラリーに写真が掲載されていました。裏面に基板リビジョンが1.01とあるので、微調整しつつ量産に向けて進んでいるのだろうと思います。発売が楽しみです。ただ、技適マークが見えないのがちょっと不安…
Tinker Board 2S
Tinker Board 2

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2020/11/20

Arduinoオシロkit_scopeのシールド化(2021/02/09追記)

電子工作をしていると波形を確認したくなることがよくあります。
私も伊達に歳は取ってないので一応オシロスコープは持っているのですが、歳は取りたくないもので、7kgある測定器を取り回すのは少々しんどくなりました。
Hp1220a
…ちなみにこれはHP 1220A(リンク先PDF)という往年の名機で、大学の固定資産廃棄品をありがたく頂き、就職してから自費で修理校正してもらったものです。

それでポータブルオシロなどを探していて、TektronixさんTBS1000Cシリーズなんて信頼度が高くて安くていいなぁなどとクラクラしているうちに、九工大(KIT)さんが公開されているkit_scopeに行き当たりました:
フィジカルコンピューティング>Arduino 簡易オシロスコープ

もちろんArduinoを使っているのでサンプリング周波数はATmega328Pのクロックに依存しますし、ADCの周波数特性もよく分からないという点はあるものの、ちょっと波形確認するにはいいかも、と試してみました。

まずはブレッドボードで回路例に従って配線し(といいつつ1uFが無かったのでトリガレベルPWMのRC平滑は10kΩ/10uFに変更)、ArduinoのスケッチをFRISKケース入り自作クローン に書き込んで、Processingのスケッチを起動すると問題無く動きました。使い勝手に少々クセがあるものの、レスポンスは充分よくデザインもかわいくていい感じです。

さて、
毎回ブレッドボードで作るのは煩雑なので、今後も頻繁に使うなら箱に入れた専用機を作るところですが、ハード的な改造がしたくなるような気がしたので、今回はシールド化することにしました。また、5Vより少し高い電圧を見たいので、分圧入力を仕込んでおくことにしました。

できたシールドをセットした状態が次の通り。写真の左上に分圧入力のメモを載せていますが、本当は1:10にしたかったところ適当な抵抗がなかったので、1:11になってしまっています:
Kit_scope01
シールドの表面は主に部品とラベルです:
Kit_scope02

シールドの裏面は主に配線で、表に載りきらかった接地側の分圧抵抗があります:
Kit_scope03
波形観測しているところ。ここではCAL出力とPWM出力を観ています:
Kit_scope04
スクショはこんな感じです(CH2はx0.0909...):
Kit_scope05
またProcessingのスケッチはアプリ化でき、何気に便利です:
Kit_scope06

もし作り込むとしたら、まずはクロックを水晶発振にして時間軸の精度を上げ、チャージポンプIC(この辺)とオペアンプで入力レンジを広げ入力インピーダンスを上げると思いますが、使っているうちに他にもやりたいことが出てきそうです。

末筆ですが、スケッチを公開しメンテナンスして下さっている九州工業大学情報工学部さんに感謝します。あと、スケッチの内容はかなり高度で、勉強もしたいと思います。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

【2021/02/09追記】
入力レンジの拡張と入力インピーダンスの安定化、UIの見直しをして専用機に作り込んだ内容をこちらにまとめています。ご参考まで。

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2020/11/16

VIERA→REGZAリモコンコンバータの改良【2025/01/28後日談追記】

8月にVIERAが故障しREGZAをお迎えして不便になったリモコン操作を一元化するため、9月に赤外線リモコンコンバータを作りました。それから2ヶ月、時々反応が鈍いなぁと思いつつ、便利に使っています。
ちょっと別件でTinkerBoard(ASUS製の、Raspberry Piと外形互換で高性能なシングルボードコンピュータ)用の赤外線リモコンを検討していたときに赤外線リモコンの通信フォーマットをまとめておられるサイトを見つけて、さらにルネサスエレクトロニクスさんのアプリケーションノートも読みながら勉強したところ、今さらながら次の2点に気付きました:
・リーダー部を確認すれば機種判定もゴミデータ(ノイズ)の判別もできる。
・前は上り下り両エッジを検知して、その偶数番目のデータを赤外線のLOW区間(赤外線受信モジュールのHIGH区間)とみなして長短判定していたところ、ルネサスさんは下りエッジだけを検知してデータ長を取得している。この方が区間判定も閾値設定もより確実。
このいずれも、受信の安定化に繋がります。実際、TinkerBoard向けのPythonスクリプトで従来のリモコンコンバータと同じ実装と上記2点を加えたものを比較したところ、圧倒的に安定になりました。

また、HP 100/200LXのSNDファイルをArduinoで鳴らしたときにATtiny85のパワーダウンモードを使ってみたことを踏まえて、リモコンコンバータのATmega328Pでもルネサスさんに倣ってアイドリング10秒で省電力モードへ移行することを考えました。

これらの改良を加えた結果、ATmega328Pでも取りこぼしがほとんどなくなりました。ただ、省電力モードの方は動作時800μA前後(受信状態による)からパワーダウン時に300μAまでしか下がらず、ATmega328Pなら0.1μAレベルまで下がるはずではと調べていった結果、赤外線受信モジュールのアイドル電流が残っていました。これは仕方ないですね(汗
というわけで、設置したところの記念写真です。コンバータの箱の後ろに、TinkerBoardのGPIOに直挿しして伸ばしたリモコン受信部が覗いています。
Irfake5

スケッチ(ソース)はGitHubにアップしておきました
何かの参考になれば幸いです。ご利用は自己責任でお願いします。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

【2025/01/28後日談追記】
2年ほど便利に使っていたのですが、ATmega328Pの故障で動かなくなりました。同じコードを焼こうかと思いつつDIGAのマニュアルを見直したところ「リモコンのテレビ操作設定」というページがあり、実はDIGAリモコンそのままでREGZAを操作できるように設定変更できることが分かりました。つまり、この工作は不要だったというわけです。楽しかったからいい(すねてません)。

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2020/11/03

HP 100/200LXのSNDファイルをArduinoで鳴らす

まずはお恥ずかしい訂正から。FRISKのケースにArduinoクローンを入れた様子ISPモードの追加について書いてきましたが、そこで写っていたラベルに派手なスペリングミスがあったのに全く気が付いていませんでした。
正しくはこちらになります:
Friskisp3a

さて気を取り直して、
秋月電子さんのサイトでたまたま圧電サウンダ(圧電スピーカー)を見かけて、電子工作の定番のひとつ電子オルゴールを作ってみようかなと思いました。ATmega328PやATtiny85を使った作品(一例)を眺めながら、音のフォーマットをどうしようかと考えて、HP 200LXのフラッシュに入れているアラーム用のSNDファイルを鳴らせると面白いと思いました。そしてざっと検索した限りでは見当たらなかったので、自分で作ってみた次第です。

HP 100/200LXのSNDファイルは、1995年ごろまでは基本的にc:\_dat\alarm.sndというファイルを用意してAppointments(非常に優秀なスケジューラ)のOptionsからAlarm BeepでCustomに設定し予定が来たら鳴るというものでしたが、みゅうさんがアラームデータ演奏プログラム playEXを発表されてから様相が一変しました。エンターテイメントとしてアラームを鳴らし、ときにはカラオケの練習などしたものです。このブログを見て下さっている方の中には、かつてNIFTY-ServeのFHPPCやFMIDIで共有されていたSNDファイルを今でも持っている(あるいは現役で鳴らしている)方もいらっしゃるのでは、と思います。そういうわけで、みゅうさんが定義されたMML(Music Macro Language)に準拠したプレイヤーを作ることにしました。
そしてArduinoの記述言語は元々C/C++をベースにしたものなので、うまいこと書いておけば他の処理系にも容易に移せるかもと思い、MMLデコーダの関数decMML()からArduino特有の部分を切り離しておいたつもりです。

書いたプログラムとサンプルファイルは、次のGithubリポジトリに掲載しています:
pado3/playMML: Arduino beep player for HP 100/200LX .SND file

実際にこれで演奏している様子はこちらです:
Playmmlt
…当初は圧電サウンダで鳴らしていたのですが、度重なるテストがやかましかったので、イヤホンを繋いでます…

ちなみにATtiny85では既にフラッシュがカツカツで、他の機能をほとんど付けられません(汗

何かお気づきの点などあれば、教えて頂けると幸いです。
ご利用は自己責任で。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

【2020/11/04おまけ】
ATtiny85の出力を録音してみました:

曲は愛の挨拶、むすんでひらいて、チャルメラ、ピポ音、ボレロの順。長い音にノイズが乗るのは宿題です(汗

【2020/11/04おまけ2】
ATtiny85版の演奏終了後にパワーダウンモードに移行するようにしました。元々はアイドル電流880uAだったところ、0.4uAになりました。ソースと履歴はGitHubのリポジトリでどうぞ。

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2020/11/01

BOOX Poke3が出ています(2021/03/07追記)

BOOX Poke2をお使いの知り合いがPoke3の情報を見て、「正常進化で好ましい」と早速注文されていました。
ここのアクセス履歴を見ていてもBOOX Poke Pro関連の記事Poke2/colorの記事を見に来られている方が(TrackPoint Keyboard Ⅱの足折れ関連記事と並んで)多いので、念のためPoke3の情報も上げておきます。
なお、例によって私自身はPoke Proを使い続けます。

さて、
2020年10月28日に、Onyxさんから白黒電子ペーパー6インチの後継モデルPoke3が発売されました。8月にPoke2が出たばかりだったので、矢継ぎ早のリリースです:
BOOX Poke3 | The Official BOOX Site
今回も↑ページ下に前モデルとの比較表があります。ざっくりまとめると:
・OSがAndroid 9.0から10.0に上がった
・Bluetoothが4.1から5.0に上がった
・アナログ音声出力が付いた
・USB端子がmicroBからtypeCになった
・CPUの強化(詳細不明)
・お値段は据え置き$190
・画面下が白っぽい色から黒っぽくなった
というところです。ちなみに公式ショップでは、Poke2からの商品差換え扱いになっています(URLで笑いました)。

BTやアナログ出力といったオーディオ機能の充実が目に付きます。最近、オーディオブック(一例)や読み上げアプリ(一例)が流行していることの影響でしょうか。個人的には、以前SONYのPRS-G1を使っていた頃、周囲がやかましいときにイヤホンを挿して雨や波などの音でマスキングしていたことを思い出しました。いまだと完全ワイヤレスのノイズキャンセルヘッドホン(一例)も売られていますが、安くて薄くて(寝転がっていても邪魔になりにくく)音もまぁまぁ良いヘッドホン(一例:個人的お気に入り)も使えるのはいいと思います。BT5の方は、使っている無線チップが勝手に対応したのでしょう(憶測です)。

USB端子の変更はご時勢ですね。といいつつmicroBのACアダプタで充分でしょうから、わざわざ買わなくてもこの辺を使えばいいと思います(こちらも個人的お気に入りです)。

Android 9.0から10.0へのOS変更にはPokeシリーズとしてのメリットが分かりません(変更点が、5G対応やダークテーマやセキュリティ関連などで、関係するものが見当たらない)。ただ、使いたいアプリが対応しているかをあらかじめ確認しておいた方がいいと思います。(個人的にはAQUOS sense plus (SH-M07)Android10にしたときに同期歌詞が出る音楽プレイヤー~プチリリ~のプレイリスト機能が働かなくなって困っており、暫定的にOnkyo HF Playerを使用中です。)

色の変更は汚れが目立ちにくくなったかも知れません(現物を見ていませんが)。ただ、上記の通り商品差換え扱いなので、白系がお好きな方やAndroid 9が必要な方は、中古を探すしかありません。

なお、今回も技適は取っていないようです(氏名または名称:「ONYX INTERNATIONAL」で送信)。ちなみに認証済リストにMax LumiNote AirのColorを含む未発売のシリーズがあって、ちょっと気になります。

正常進化した端末が出続けてくれることは、Poke proが壊れたときのことを考えると大歓迎です。ただ、RAMはもうちょっと欲しいかな。無線の認証も取って、国内で正式発売してくれるといいなと思います。

以上、参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

【2021/03/07追記】
技適取得は予定無しということです。
210307
ご返答頂いたことに感謝しつつ、将来の新機種に期待します

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