2024/12/31

2024年 面白かった本

今年もSNSで「読了。」とつぶやいた本をまとめてみました。

先に特筆したい本を挙げていきます(リンク先は版元):
まずはノンフィクションから。今年最初に読んだダースレイダー著「イル・コミュニケーション」が、いまでも強く印象に残っています。本の内容もなのですが、本書は昨年末に電子化されたものの「固定レイアウト実例)」で極めて読みにくかったので、版元のライフサイエンス出版さんにリフロー化をお願いしたところ聞き入れられて嬉しかったのです。同じ「叢書クリニック」シリーズのインベカヲリ★著「伴走者は落ち着けない」もよかったです。
6/24の「視点・論点」からの関心で読んだ田中洋子編著「エッセンシャルワーカー」では、いつもお世話になっている方々の働きぶり(働かされぶり)が社会学的アプローチから明晰に分析されていて、いかに自分に周りが見えていないかを思い知らされました。
12/20の荻上チキ・ Sessionで知った橋本麻里,山本貴光共著「図書館を建てる、図書館で暮らす」は、まさに本好きの夢を叶えた実録で夢中になって読みました。そして本の結末を読むと、やっぱり私などが逡巡したり諦めたりするのも仕方ないよな、と慰められたりもしました。

次に文学作品です。今年のノーベル文学賞を受賞したことを機に読んだハン・ガンさんの電子化されている2作品「すべての、白いものたちの」と「ギリシャ語の時間」の、とても真摯な言葉の紡ぎ方が素晴らしかったです(いずれも斎藤真理子訳)。他も電子化されたら読みたいです。
GW前の荻上チキ・ Sessionに出演されていた頭木弘樹さんの編訳によるフランツ・カフカ著「カフカ断片集」で、はじめてまともにカフカを読みました。サブタイトル「―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―」の意味が読後にしみじみと感じられる、面白い体験でした。同じ日のエンディングで荻上チキさんが紹介されていたアンディ・ウィアー著,小野田和子訳「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、この著者×訳者の過去作品(「火星の人」「アルテミス」)をとても楽しく読んでいたのに気が付いておらず、ラジオを聴いていてラッキーでした。もちろん、とても楽しかったです。
あと、昨年に本編が完結した香月美夜著「本好きの下剋上シリーズ」は、引き続き「ハンネローレの貴族院五年生1」「短編集3」「ふぁんぶっく9」そしてコミカライズが出ていて、供給があるたびに立ち返って読み直すなど相変わらず楽しんでいます。

続いてコミックスです。カドコミで12月から連載されている小板玲音著「エレナの炬火」に1話で虜になって調べたところ、2023年2月に1巻が、2024年2月に2巻が出ていて、すぐに買って読みました。カドコミではいまのところ最新の第5話まで無料で読めますが、前回の第4話あたりでただならぬストーリーであることが見えてきます。いまの連載ペースだと、2025年2月頃に3巻が出そうで、引き続きウォッチしていこうと思います。
最後に、カドコミとニコニコで4月に始まったいのうえひなこ著「ウェスタの台所」が世界グルメとSFとラブコメを上手にミックスしていて楽しいです。12/26に2巻が出たところで、これからの展開が楽しみです。
以下が全リストです(読んだ順、リンク先は感想つぶやき):
ダースレイダー著「イル・コミュニケーション 余命5年のラッパーが病気を哲学する
齊藤新三著,山田祥寛監修「Androidアプリ開発の教科書 第3版 Kotlin対応
劉慈欣著,大森望,古市雅子共訳「白亜紀往事
山本直輝著「スーフィズムとは何か イスラーム神秘主義の修行道
朱喜哲著「100分de名著 ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』
中田考著「イスラームから見た西洋哲学
長谷部愛著「天気でよみとく名画〜フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ〜
周司あきら,高井ゆと里共著「トランスジェンダー入門
石田夏穂著「黄金比の縁
馬場康誌著「ライドンキング(12)
のの原兎太著「生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい(web版)
池崎数也著「世知辛異世界転生記(web版)
中江有里著「水の月
立木康介著「100分de名著 フロイト『夢判断』
アンドリュー・スチュワート著,小林啓倫訳「情報セキュリティの敗北史〜脆弱性はどこから来たのか
東映(株)監修「王様戦隊キングオージャー バーチャルプロダクションガイド
ラテン語さん著「世界はラテン語でできている
日野行介著「情報公開が社会を変える〜調査報道記者の公文書道
いとうみゆき著「車のおうちで旅をする
米澤穂信著「冬期限定ボンボンショコラ事件
円満字二郎著「難読漢字の奥義書
小黒康正著「100分de名著 トーマス・マン『魔の山』
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-8
岡真理著「ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義
熊谷雄太著,スヴェトラーナアレクシエーヴィチ原作「チェルノブイリの祈り1
村上春樹著「TVピープル
畑中章宏著「100分de名著 宮本常一『忘れられた日本人』
宮田和樹,馬場千枝,萬谷ひとみ共著「アクセシブルブック はじめのいっぽ
石田夏穂著「我が友、スミス
村中直人著「ニューロダイバーシティの教科書
フランツ・カフカ著,頭木弘樹編訳「カフカ断片集
吉田千亜著「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
雨宮ひかる著「ゆるワニ ビビ 〜くちのとじかた、おしえてください〜
福田雄介文・関俊一絵「イリエワニ
図書館振興財団編「『図書館の学校』(2024年春号)特集:読書バリアフリー法について考える
熊谷雄太著,スヴェトラーナアレクシエーヴィチ原作「チェルノブイリの祈り2
鈴華著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上2-11
餅月望著「ティアムーン帝国物語短編集
沙嶋カタナ漫画,ポール・ギャリコ原作「猫語の教科書
五味太郎著「ならんでいる
田中洋子編「エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか
平出和也著「What's Next? 終わりなき未踏への挑戦
馬場康誌著「ライドンキング(13)
酒井啓子著「〈中東〉の考え方
香月美夜著「ハンネローレの貴族院五年生 1
アレクシエーヴィチ原作,小梅けいと著「戦争は女の顔をしていない 5
波野涼著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上3-8
アンディ・ウィアー著,小野田和子訳「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上下
安田謙一著「神戸、書いてどうなるのか
マリーナ・オフシャンニコワ著,武隈喜一・片岡静訳「2022年のモスクワで、反戦を訴える
piro piro piccolo著「意外と知らない鳥の生活
安田登著「100分de名著 ウェイリー版『源氏物語』
いのうえひなこ著「ウェスタの台所 ‐忘れたぼくの世界ごはん‐ (1)
長嶋有著「僕たちの保存
インベカヲリ★著「伴走者は落ち着けない ─精神科医斎藤学と治っても通いたい患者たち─
マーサ・ウェルズ著,中原尚哉訳「システム・クラッシュ
あれっくす著「私の魔法の先生は魔法が使えない -第二幕-(1)
松浦晋也著「日本の宇宙開発最前線
ハン・ガン著,斎藤真理子訳「すべての、白いものたちの
香月美夜,椎名優,鈴華,波野涼,勝木光共著「本好きの下剋上 ふぁんぶっく9
蒼井美紗著「図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~ 1,2
泡坂妻夫著「煙の殺意
冬原パトラ著「異世界はスマートフォンとともに。(web版)
フランツ・カフカ著,頭木弘樹編「決定版カフカ短編集
島袋全優著「腸はなくとも食欲はある! 1
星見うさぎ著「婚約者様には運命のヒロインが現れますが、暫定婚約ライフを満喫します!~あなたの呪い、嫌われ悪女の私が解いちゃダメですか?~(web版)
RAハインライン著,森下弓子訳「ルナ・ゲートの彼方
安田陽著「再生可能エネルギー技術政策論 日本特有の問題点の整理と課題・解決法
仲村ひなと著,石之宮カント原作「【マンガ】始まりの魔法使い 2
青柳碧人著「浜村渚の計算ノート 11さつめ エッシャーランドでだまし絵を
小板玲音著「エレナの炬火 1,2
香月美夜著「本好きの下剋上 短編集3
勝木光著,香月美夜原作「【まんが】本好きの下剋上4-9
ハン・ガン著,斎藤真理子訳「ギリシャ語の時間
橋本麻里,山本貴光共著「図書館を建てる、図書館で暮らす 〜本のための家づくり
いのうえひなこ著「ウェスタの台所 ―忘れたぼくの世界ごはん―(2)

以上79冊でした(web版は1作を1冊とカウント)。あらためて振り返ると印象的な本が多い年でした。なお、取り立てて共有するまでもないと感じた場合はつぶやいておらず、実際に手に取ったのは上記+18冊(計97冊)ぐらいで、今年もぜんぶ読み切りました。もうちょっとで100冊でしたが、数は追いません。
来年もいい本と出会えますように。

なお、リストアップはnotestockの日毎表示から自作のPythonスクリプトで行いました。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

備忘: 2023年, 2022年, 2021年, 2020年

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2024/11/27

時計をOPPO Band 2に代えました

2021年の5月に買ったOPPO Band Styleを気に入って使ってきたのですが、先週末に何故か充電できなくなって(後に理由判明します)、後継機のOPPO Band 2を買って使い始めました。商品としては2023年1月発売で、既に取扱店も少なくなっていて今さらですが、感想などを残しておきます。
Oppoband2a
左が従来品、右が新しいのです。壁紙は「本好きの下剋上ふぁんぶっく5」から。

OPPO Band2への移行は実に簡単で、専用アプリOHealthで旧機種とのペアリングを解除し、新機種とペアリングするだけでした(新機種の方を立ち上げるのに電源を繋ぐのも同じ)。これで通知や心拍数・血中酸素レベルの測定設定などがあっさりと引き継がれます(SpO2値も同等)。一方、細かな違いも少々。これまでに気が付いているところでは:
①画面のピクセル数が約2.8倍になり、両方とも約300dpiで、面積も情報量も2.8倍になった。これによりアプリ起動への動線は短くなり、通知の文字が大きくなった(便利)。
②通知に[閉じる]ボタンが現れ、これで閉じるとスマホ側の通知も閉じてくれる(便利)。
③スマホを置き忘れたときなどの、Bluetooth切断通知ができるようになった(便利)。
④充電完了通知がスマホに来るようになった(便利)。
⑤アラームが、従来はアプリで設定しバンドに転送していたところ、本機はバンド自体で設定するようになってタイトルが付けられなくなった(不便&アラームが来なくて少し慌てた)。
⑥従来はクレードルに嵌めて充電していたところ、本機はマグネット付きのアタッチメントになった(不便):
Oppoband2b
このアタッチメントは、磁石の反発によって逆接続できないようになっています。それは良いのですが、剥き出しの端子が接続しなくても通電状態になっていて、金属板に貼り付くなどすると危なそう。使わないときは抜くか、カバーをするべきだと思いますが、取扱説明書にも記載ありません。

さて、
OPPO Band Styleの充電ができなくなった事象の原因は、使っていたUSB延長ケーブルの断線でした。充電用クレードルのケーブル長が12cmと短くて常設しているUSB電源アダプタに届かず、使っていた延長ケーブルが切れていました。このことに、新しく買ったOPPO Band 2を繋いで充電できないまで気付かなかった次第(いやはや)。こんどは40cmあって直接届くようになりました。

上記のように、全体としては正常進化していますし、特に重いとか大きすぎるとかということも無いので、乗り換えることにしました。従来機はこの機会に綺麗に掃除して片付けておきます。それにしても、3年半使っても電池がしっかり持っていたのは高評価です。新機種も長く使えますように。
この機会に、私のスマートバンド遍歴をまとめてみます。最初はSONYのSmartBand Talk SWR30で、2015年6月から2017年9月まで2年ちょっと使っていました。元々Xperiaの周辺機器としてソニエリのスウェーデンでデザインされたらしく、電子ペーパーの常時表示ディスプレイをはじめ見た目も機能も洗練されていて良かったです。電池もちが悪くなってきたところで、次のをプレゼントされて引退しました。
2代目もSONYで、初代のwenaであるWN-WB01S+WN-WC01W-Hでした。これは退職の餞別に頂いたもので、2017年9月から2021年4月まで3年半ぐらい使っていました。ヘッド(ムーブメント)がズッシリ重くて存在感のある時計に、バイブとLEDによる意外に多彩な通知とFeliCaの機能性は良かったのですが、Bluetooth(BLE)接続が不安定だったり、SUS316Lにも関わらず肝心のバンドが腐食したりと、なかなか尖っていて楽しめました。これも電池もちが悪くなり、最終的には壊れて引退しました。
3代目が従来のOPPO Band Styleで、2021年5月から2024年11月まで3年半ぐらい使っていました。これだけ使っていても電池もちは1日10%から一向に悪くなる気配がなく、まだまだ使えると思っていたのですが、先週末に30%→80%で充電停止してから充電できなくなってしまい、仕方なく次のを探しました(結果として、上記の通り濡れ衣だったのですが)。
そして今回のは4代目のOPPO Band 2です。OPPOのスマートバンドとしては3代目になるようです。XiaomiやFitbitも検討したのですがピンと来ず、現に不満も無いので後継機にした次第です。

画面サイズについてもメモしておきます。
・OPPO Band Styleは対角1.1インチで横126x縦294pixel、DPIはSQRT((126^2 + 294^2)/1.1^2)〜290dpi
・OPPO Band 2は対角1.57インチで横256x縦402pixel、DPIはSQRT((256^2 + 402^2)/1.57^2)〜303dpi
・情報量は(256x402)/(126x294)〜2.78倍

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

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2024/11/07

フィリップスQC5580の電池交換

2013年にスキンヘッドにしてから11年になります。当時いろいろと手入れの仕方を調べて実践し、いちばんお手軽だったのがフィリップスのセルフヘアーカッターQC5580でした:
Qc5580p01
見た目ゴロンとしたシェーバーで、ヘッドがボディの横に付いており、使いやすい向きに回せるのが特徴です。上の写真では分かりやすいように、ふだん使わない角度にセットしています。
ちなみにフィリップスにはQC5570という兄弟機があって、こちらにはヘアシェービングヘッドが付いていませんでした。

5年ぐらい使った2018年に電池が持たなくなって買い換えたときには品名がQC5582に変わっていたのですが、マイナーチェンジで使い勝手などは全く変わっていませんでした。
それから6年経って、また電池が持たなくなったのですが、こんどは販売終了で後継機がありません。仕方がないのでダメモトで電池交換してみたら成功したので、メモを残しておく次第です。ただ、替え刃も販売終了しているので、刃がダメになったらお終いです。

ケースの開け方は、廃棄時の電池リサイクル方法として、取扱説明書に書いてありました(リンク先PDF): QC5580JP_A6_CS3
(「お客様による充電池の修理交換はできません。」は自己責任で無視して、)注目の図はP.22下にあります:
Qc5580p02

再利用可能なように開けるには、ギターピック数枚とトルクス#6ドライバーを使います(図のようなごついマイナスドライバーを使うとケースを止めている爪が折れ、ミニマイナスドライバーではトルクスねじの山が潰れます)。少々苦労しつつ開けてみると(写真を撮り忘れたのですが!)NiMH単4電池2本へ端子が直にカシメスポット溶接(参考)で取り付けられていて、普通には交換不能でした。
そこで電池の収まるスペース内で電池ケースを作ってエネループを収納しました。普通の電池ボックスのようなものを入れる余地は無かったので、プリント基板と銅箔テープを切り貼りして端子を作り、長いM3ネジを適当にカットして基板を挟む構造にしたところ、なんとか入りました:
Qc5580p03

Qc5580p04
ボディを開けるときに欠けたところをテープで補修しましたが(最初の写真の右下)、ちゃんと動くようになりました。ストックしている刃がもつ間は大事に使おうと思います。

以上、何かの参考になれば幸いです。もし試す場合は自己責任でお願いします(水回りで使うのでスキマは厳禁ですよ)。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

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2024/10/04

TinkerBoard3が出たらしい

TinkerBoard2が2021年に出てから3年半、もうASUSからSBC(シングルボードコンピュータ)は出ないのかなぁと思っていたところ、昨日2024/10/03に新機種の発表がありました:
ASUS IoT、多様な垂直分野に対応するArmベースのTinker Board 3/3SシングルボードコンピューターとTinker System 3Nを発表 | ASUS JAPAN株式会社のプレスリリース
Tinker Board 3S商品ページ

この3/3SはRaspberry Pi(ラズパイ)と同じサイズのSBCで、MPUが2のRockchip RK3399からRK3566に変更されています(6コアから4コアになりピーク性能を抑える方向で、たぶん発熱も減っている)。また、同じRockchipのNPU(ニューラルネットプロセッサ)が搭載されていて、端末自体(エッジ)でAI処理しやすくなっているようです。S付きの方は従来と同じくeMMCストレージ付きで、2Sで選べた32GBは無くて16GBのみになりました。microSDスロットは、初代は触ったらバネで飛び出す危険仕様だったところ、2/2Sと同じく摘まんで抜くタイプです。あと、写真を見る感じでは2でラズパイ3までと大幅に変わっていたI/O配置が、初代&ラズパイ3までに近い配置に戻っています。但し、電源はUSB microBではなくてφ5.5/2.5mmの12-19Vです。

ユーザー認証に使えそうなエッジAI対応、性能バランス重視などはプロ向けの進化かな、という印象です。逆に言うとご家庭用のSBCとしては3の出番は無くて、初代と2の使い分けになると思います。ちなみに私は初代をおうちサーバー用、2SをLinux作業用にしています。このおうちサーバーは連続稼働6年で、microSDは何度か壊れましたが、本体は元気で、さすがはASUSの品質だと思っています(ラズパイは何度か痛い目に遭っているけれど、ASUSはマザボやタブレット等でも外したことが無い)。

ちなみに、いつも買っているPhysical Computing Labさんでは、ラズパイサイズでは無い方の3Nを早速取り扱っていますが、いまのところ3/3Sはありませんでした:
Tinker Board | Physical Computing Lab

以上、自分で使う気が無いにもかかわらず、着実な進化が嬉しくてまとめた次第。何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

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2024/07/07

室内外の温湿度を表示し、暑さ指数をカラーLEDで表示する端末を作りました

梅雨入りが遅かった今年の梅雨明けは平年並みになる見通しだという予報が出ていますが、既に真夏並みの暑さと日射があって、水不足にならないか心配です。水不足と言えば、生き物の身体も急速な温暖化に付いていける訳が無く、環境保全とともに熱中症対策が必要で、気象庁と環境省の発する熱中症警戒アラート等をチェックしつつ、自室環境に応じて適切な水分補給とエアコンの使用を心がけたいところです。

さて、4年ほど前に室内の暑さ指数WBGTを求められるようになり、「危険」レベルに達したらIFTTTで通知を飛ばすようにしていたところ、前に書いていた通りIFTTTのWebhooksが有料オプションに移行してしまったためIFTTTからメールに変更したのですが、メールは見落としが多いのでパッとみて分かる端末を作ってみました。
斜め前から見たところ。場所・測定時間・温度・湿度・WBGTが表示されている。
通常は室内の値が表示されていて、右上のスイッチを押すと室外の値が出ます。右下のスイッチは液晶バックライト用です。
後ろから見たところ。LEDが明るく光っている。
光っているLEDは環境省熱中症予防情報サイトの 運動に関する指針に準拠した色で点滅しています。基板は2枚重ねで、下の写真の手前左にESP32-WROOM-32Eが見えています。
回路図は次の通りです:
ESP32-WROOM-32Eを中心にしたマイコン部とAQM1602Y-FLW-FBWを中心にしたLCD部に分かれている。当初LCDのVoutに0.1uFを付け忘れていた(文字がノイズだらけになった)。
カラーLEDは制御ICにWS2811を使った PL9823-F5を、仕様外れですが、Vdd=Vio=3.3Vで使っています(中間色の色味は調整しました)。
内部処理は宅内ネットワークへの接続および宅内サーバーとの連携が主で、プライベートな情報をマスクすると訳が分からなくなると思うのでソースは公開せず、ざっくりとした流れだけを説明します。
1. 室内と室外の温湿度を10分ごとにTinkerBoardとRaspberry Piで測定したデータを、サーバーに集約する(従来からの処理)。取得データのフォーマットは次のように年・月・日・時・分・秒・温度・湿度・気圧がCSVで並んでいます。
数字の羅列、2024/07/07の午前7時前後のデータ
ここでは右側に色付きの文字でWBGT値を入れておきました。7:00に「危険」とされる31℃を示しています。
2. 最新の取得データから、場所・測定時間・危険度・温度・湿度・WBGT値を表示するwebアプリを用意する。ここで危険度とは、上記 運動に関する指針の5段階に、日本生気象学会熱中症予防研究委員会のWBGT変換表(リンク先PDFのP.3)で計算範囲外になる気温21℃以下を加えた6段階にしました。PCのChromeでページのソースを見ると次のような内容です。端末のLCDは16文字x2行で、「WBGT」までで16文字、その後の危険度は表示欄外になります:
室内と室外の、場所・測定時間・「WBGT」文字列・危険度の数値(改行)、温度・湿度・WBGT値
3. 作成した端末はMicroPythonでコーディングしました。宅内WLAN接続し、上記ページをurequests.get()したレスポンスの.text属性が上記ソースの内容なので、これを用いてLCD表示とカラーLEDのNeoPixel制御をします(危険度はLCD表示せず、カラーLEDの色と明るさを決めるのに使う)。通常は1,2行目を表示し、端末右上のスイッチを押すとアドレスを2足して3,4行目を表示します。
4. 今回の筐体はDAISOで4個110円のタッパーです(リンク先は40個売り)。フリスク用として売っている基板(ユニバーサルESP32-WROOM用)のカドや突起を落とすとちょうど入るサイズで、見た目はプアですがカッターナイフとドリルなどでサクサク工作できて便利です。また、できてから気が付いたのですがLEDの光が適当に拡散されて、いい感じになりました。

BOMは次の通りで、合計2969.5円でした。なお、電線・ハンダ・ピン・ラベル等の副材はカウントしていません:
itemdetailpricepcssubtotal
CPU moduleESP32-WROOM-32E5301530
LCDAQM1602Y-FLW-FBW7801780
RegNJM2845DL1-3350150
Color LEDPL9823-F5 (WS2811)40140
Green LEDOSG8HA3Z74A616
USB-SerialFT234X7801780
Power conn.電源用microB40140
Slide SWSS-12D00-G5520120
Push SWTCF-06210110
Push SWTVBP06-B043CW-B20240
C0.1uF25375
C1.0uF20240
C10uF50150
R1k111
R2.2k111
R10k133
VRノブ付き10k50150
case内寸約60x40x30mm27.5127.5
CPU基板ABBC-003 ※3461346
LCD基板AE-FRSK-120-UV-TH80180
なお、※のCPU基板はスイッチサイエンスさん、他は秋月電子さんで購入しました。いま思えば組み込みなのでトランシーバーのFT234Xは積まなくても良かったか。


今朝は日曜日で遅くまでゴロゴロしていたのですが(昨日ラグビーのJAPAN XVがマオリオールブラックスに初勝利し、いい気分でYouTubeを寝床で観ていました)、暑さを感じてふと見ると端末が皓々と真っ赤に光っていて、慌ててエアコンをつけました。これが午前7時で、さっそく役に立ってしまいました。
ところで最近は、熱中症警戒アラートなどの普及とともに様々な商品も出ています:
温湿度計で熱中症対策!色で警戒レベル表示 離れた部屋、不在時も確認 | 共同通信
温度・湿度アラーム | 特長 デジタルコードレス電話機 VE-GD78DL/DW | Panasonic
流石にプロは見せ方が上手いなぁと思います。精進せねば。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

ps. 七夕の朝七時のデータってスロットみたいだ

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