2025/03/16

Wi-Fi・BLEハイブリッドリモコンへのスリープモード導入

まずはお詫びから。一昨日の記事の電流測定時に校正方法を間違えており、電流値が約10%大きくなっていました。記事は修正済みです。

さて、
Wi-Fiを切っても(WiFi.disconnect(true);しても)消費電流が44mA39mAも残ってしまうことからスリープを入れることを検討する方が良さそうだと書いていました。今回使っているESP32にはスリープモードがライトとディープの2つあり、再起動のトリガーも複数用意されていて細かく設定できます。私の大雑把な理解では、ディープスリープからの再起動は電源投入に相当し(Arduinoでいうとグローバルパラメータを読み込んでsetup()からスタートする)、ライトスリープからの再起動はメモリ内容などを保持したままスリープに入った位置から動き出します。
今回の場合、スリープから再起動する時にジョイスティックの校正などを飛ばして素早く動かしたいので、ライトスリープを使ってみました。
ユースケースを考えると、スリープに落ちるときはリモコンを置きっぱなしにしているはずです。また、スリープに落ちているかどうかを意識して、特定のスイッチを押して再起動するのは煩わしい。そこで、ESP32に備わっているタッチセンサー機能を使ってみました。
ブレッドボードでタッチセンサー対応ポートにリード線を繋ぎ、プラ板に貼った銅箔テープと接合して銅箔の裏側からタッチして値を読んでみると、触らない時の値は大体40台後半で、触ると値が3〜8ぐらい小さくなることが分かりました。また、この値が銅箔テープの長さなどによって変わることも分かりました。この感じだと、あらかじめ閾値を決め打ちしない方が良さそうだと思い、スリープに入る前に10回測定して平均値を求め、それよりも2だけ小さい値を閾値にすれば安定して動作しそうだと見当を付けました。

次の写真が、ケース内壁の手前側(ジョイスティックのある側)へ銅箔テープを貼っているところです:
Jst09
銅箔テープの端の方、あとでESP32のタッチセンサー対応ポート(今回はT2 = GPIO2)に接続しやすいところへリード線をはんだ付けしています。リード線の反対側にはピンヘッダーを付けるので、先にピンの絶縁用に熱収縮チューブを通してあります。
銅箔が剥き出しのままだとショートの危険があるので、上から絶縁用の紙シールを貼りました:
Jst10
そしてケースに基板を収めて、あらかじめタッチセンサー対応ポートに取り付けたソケットと、リード線に付けたピンヘッダーを嵌合します:
Jst11
これでハード面の改造は終了です。ソフトの方は、Wi-FiとBLEそれぞれにタイマーを設けてタイムアウトしたら切断するようにしていた(BLEは切断ができないので再起動をかけていた)ところをまとめて、ひとつのタイムアウトでスリープするようにしました。具体的には、Wi-Fiのタイムアウトを1分、BLEのタイムアウトを2分にしていたところ、2分でスリープするように設定しました。

あと、使い勝手を良くするためにFirefoxの再読み込み(F5)を、空いていたOption+Pauseに仕込みました。これらを行ったあとの回路図がこちらです:
Jst12
…我ながら、ほとんど間違い探しですね。IO2にTOUCHが付いているところと、Option+PauseがF5になったことが差分です。修正したコードはGitHubに置いておきました

今回の改造前後の電流値比較がこちらです:
Jst13
前はBLEのタイムアウト後に再起動がかかって定常的なアイドリング電流が39mAあったところ、ライトスリープ導入によって4.3mAになっていて、電池の負荷は格段に少なくなりました。肝心のスリープからの再起動はとても安定しています。また、スリープから起きると直ちにBLEが繋がっているのが便利です。

今後も使い勝手が良くなるように修正していくかも知れませんが、これで開発は一通り完了です。
以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (M2)

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2025/03/14

ラズパイ5とテレビでラグビーを観るための、Wi-FiとBLEのハイブリッドリモコン【2025/03/16追記・修正】

ネット動画(私の場合はほとんどラグビー)を観るために買ったRaspberry Pi 5(ラズパイ5)の電源スイッチをリモート操作する方法が分かったことに気をよくして、おうちサーバーからラズパイ5+関係AV機器を制御する仕組みを作りました。さらに、動画再生で頻繁に使う一部の機能を補助するデバイスも作りました。
これで様々なコントロールができるようになったものの、webアプリ用スマホとラズパイ5用のマウス、それに補助デバイスの3つが絡んできて、少々煩雑な感じになってしまいました。

やはりここまできたら専用マウスを自分で作った方がいいけれど機構をどうしよう、と思いながら秋月電子さんのサイトを見ていたところ、アルプスさんのジョイスティックをユニバーサル基板に繋ぐキットを売っていることに気が付きました(他にもいくつかありますが、これと目が合った)。そこでwebアプリの操作をWi-Fiで行い、ラズパイ起動後の操作をジョイスティックとスイッチで行うBLEマウス&キーボードを作ろうと思い立ちました。少々の紆余曲折を経てできたものは、こちらです:
Jst01

さて、こんな紆余曲折がありました。
まずはBLE機能だけで「いつもの」Seeed XIAO BLE Sense (nRF52840) を使った回路とレイアウトを考えたところ、ジョイスティックのADC2系統とスイッチ9個でXIAOのI/O数はピッタリで、「いつもの」ミンティアブリーズのケースに収まるメドは立ったのですが、なんだか面白くありません。どうせならWi-Fi経由でのラズパイ5電源&周辺AV機器の操作も1デバイスでやりたいと考えていたところ、Raspberry Pi Pico Wがちょうど合いそうだと思って買って検討してみたところ、MicroPythonではWi-Fiが不安定だったのとBLE HIDが難しそうだったので早々に諦めて、CircuitPythonにスイッチ。まずはWi-Fi動作を確かめてからBLEに移ったのですが、コードが見事に動かない。なんでかなと思ったら、現時点でのCircuitPythonはPico WのBLEをサポートしていないのでした
Jst02
続いてESP32でもCircuitPythonが使えるという情報があって試してみました。素の(Sが付いていない系統の)ESP32はプログラム領域をUSBメモリとして動作させることができないためシリアル経由で操作するのですが、これがどうにも不安定かつ煩雑で、ちょっとやっていられない感じでした。
以上の紆余曲折を経て、今回はESP32-WROOM-32EをArduinoで動かすという古典的な方法にしました。

先日の動画再生補助デバイスを作ったとき昔のコードではコンパイルエラーが出ていたことから、先にライブラリのバージョン等を確認しました。BLEについては3年前に公開されていたマウスとキーボードのコンボライブラリを使うことにしてサンプルプログラムをコンパイルしたところ、Arduinoのesp32ボードライブラリ(by Espressif Systems)のメジャーバージョンが3になるとエラーで弾かれ(現行最新は3.1.3)、バージョン2系最終の2.0.17であれば動きました。そこで、以後の作業は2.0.17を用いることにしました(公式の移行ガイドがあるものの、私の技量では手に余るので)。
すっかりPython慣れしているせいでカッコや変数型などに悩まされながらも、BLEによるジョイスティック周り、同じくBLEによるキー入力周り、Wi-Fi周りとブロックごとに作っていきました。ここで、BLE関連だけでメモリ使用量が85%に達していたのでWi-Fiを合体したらオーバーするのではないかと思っていたところ、案の定130%になってしまいました。どうしようか途方に暮れながら"Sketch too big"というエラーメッセージで検索したところ、同様のトラブルはままあることのようで(一例)、Arduino IDEのToolsにあるPartition SchemeからAPPに割り当てるメモリを初期値1.2MBから最大3MBまで拡張できる仕組みがありました。今回の場合ログなどを蓄積する用途でないためSPIFFSが小さくなるのは問題無く、無事にコンパイル・実行できるようになりました(最終的に2MB割当てて81%)。

ブレッドボードでの作業はここまでとして、回路図を整理し、部品配置をあれこれ考えて、ジョイスティックやスイッチ(キー)を上側の基板に、ESP32と電源系を下側の基板に置いて、ロープロファイルのピンヘッダーピンソケットでスタックすることにしました。これで組むと、ケース内の部品高さはジョイスティック部分で約16mm、他は約15mmになりました:
Jst03
高さが不揃いになるとスイッチのキーが寸足らずになってしまうので、ジョイスティック部分のケースを刳り抜き、これでケース内は約15mmで揃います(今度はジョイスティックが低くなるので厚紙を切ったスペーサーで調える)。前にキッチンタイマーを作ったときに使ったのと同じダイソーで2個110円のばんそうこうケース(ケース内高さ16mm)に入れようと考えていたのですが、その通りにできました。ちなみにケース内寸の短辺は約33mmで、いまは亡きプラケースのフリスク用に作られた基板(例:秋月電子さんスイッチサイエンスさん)がちょうど入ります。

スタックを開いた部品面が次の写真です:
Jst04
上側の基板にスイッチ類が並んでいます。下側の基板にESP32とLiPo充電モジュール、電源系切替ジャンパを置いています。ここで充電モジュールはTP4056Aを使ったもの(Aと無印はほとんど同じ)で、2000mAh級の18650バッテリーを充電するために1A給電するように設計されているのですが、使おうとしているバッテリーは160mAhなので充電電流を1C=160mA以下にしなくてはいけません。そこで電流制御抵抗を1.2kΩから10kΩに付けかえました。仕様書の上では130mAになる設定ですが、実測値は120mAでした。


次の写真は配線面。下側の基板にシリパラ変換器とレギュレータを入れました:
Jst05
ここではLiPoバッテリーに配線やバリが直接触れて傷やショートを招かないようにマスキングテープを貼っています。また、シリパラ変換器のVBUS(5V)ラインに付いている300mA程度のポリスイッチがESP32の突入電流で動作してしまい自動リセットを繰り返すのでバイパスしました(回路側のショートに注意)。

マスキングテープを剥がすと配線です:
Jst06
LiPoバッテリーの高さマージンがあまりないので(ロープロファイルのヘッダ&ソケットで6.14mm、バッテリーの厚さが4.0mm)、電池の入るところをできるだけ避けています。

さぁできた、というところでラベルも作って組み上げて試運転を始めました:
Jst07
すると、ブレッドボードの時と違ってBLEがとても不安定でした。色々と確認したところ、縦持ちの設計で写真の左側を手で持って操作するときにBLEが切れ切れになることが分かりました。実はこちら側にESP32のアンテナが入っているので、手で電波の放射が妨げられるという初歩的なミス。Wi-FiでRSSIを見ると、手で持つことで15dBぐらい落ちていました。それでもWi-Fiは繋がっていたのですが、BLEの方が弱いようです。元々Pico Wで同じケースに収める検討をしていた時にはアンテナが中央付近に来るのでちょうど良かったのですが、ESP32に路線変更したときに見落としていました。

これは作り直しかと思っていたところで横向きに持てば大丈夫だと分かり、スイッチの機能割り当てとラベルを見直しました。さらにベータテストで機能の見直しなどをして、最終的にできたものが冒頭の写真です(再掲):
Jst01
回路図はこうなりました:
Joysticktermsch

さて、ESP32-WROOM-32Eで気になる消費電流を測りました。以前XIAO BLEの消費電流を測るために作ったハイサイドI/Vコンバータは約50mAまでしか測れず、あっさりとクリップしてしまいます。そこで1Ωセンス抵抗と並列に0.1Ωを入れて、測定倍率を(1.0*0.1)/(1.0+0.1) = 1/11 (~0.091) としてみました。
【2025/03/16 次の一節を修正しました】
この状態で消費電流を測った結果がこちらです:
Jst08a
ブート時に44mA、
無線なしでのADCを含む定常動作が33mA、
Wi-Fi起動時にピークで210mA、
Wi-Fiのスキャンで88mA流れます。
Wi-Fiを切っても6mAぐらい増えた39mAが定常的に流れ、
Wi-Fi接続するとピークで210mA・ビーコン時に88mA・ボトムが39mAを推移します。
ここにBLEが重なるとアドバタイズ時に110mA流れ、Wi-FiとBLE両接続ではビーコン時に88mA・ボトムが39mAを推移します。 今回、Wi-Fiのタイムアウトを1分、BLEのタイムアウトを2分として、BLEがタイムアウトしたらソフトリセットを掛けるようにしているので、実質的なアイドリング電流は39mA強。バッテリーが160mAhなので4時間しかもたない計算です。これは、スリープを入れることを検討する方が良さそうです。
【修正はここまで】

コードはGitHubにリポジトリを作って置いておきました。
BOMは次の通りで、合計2547円でした。なお、電線・ハンダ・ロープロファイル以外のピン・ラベル等の副材はカウントしていません:
itemdetailpricepcssubtotal
MPUESP32-WROOM-32E3601360
JoystickAE-RKJXY10000066001600
S/PCH340E module60.8160.8
ChargerTP4056A module25.4125.4
R10k 0.1% 160820120
Reg.NJM2845DL1-3350150
Sub.ESP32 to Frisk3461346
Sub.universal for Frisk1202240
Sub.D-type Non-th40140
LiPo401430 160mAh230.41230.4
casefor adhesive plaster55155
Pin socketlow profile 1x20802160
Pin headerlow profile 1x4040140
SWDTS-63 and so on1012120
SWTS8855SG-P222122
SWTVBP0620120
SWSS-12D00-G520120
C10uF60160
C1uF13452
LEDOSG8HA3Z74A Green10110
LEDOSR5JA3Z74A Red10110
R1/6W 3x100k, 2x10k155

まとめたことで課題が出て良かったと思っています。改善検討をぼちぼちやりつつ、後半に入ったラグビーシーズンを楽しもうと思います。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017 → M2, 2022)

【2025/03/16追記・修正】
初出時の電流測定で校正を誤っており、約10%大きい値となっていたことに気が付いたので再測定し、記事中のグラフおよび値を修正しました。
修正前の内容を記録のため残しておきます:
この状態で消費電流を測った結果がこちらです:
Jst08
ブート時に44mA、
無線なしでのADCを含む定常動作が33mA、
Wi-Fi起動時にピークで230mA、
Wi-Fiのスキャンで99mA流れます。
Wi-Fiを切っても10mAぐらい増えた44mAが定常的に流れ、
Wi-Fi接続するとピークで230mA・ビーコン時に102mA・ボトムが44mAを推移し、
切れる前に200mAぐらい瞬間的に流れます。
BLEはアドバタイズ時に110mA程度流れ、
接続するとピークで120mA・ビーコン時に100mA・ボトムは44mAを推移します(Wi-Fiより若干少ない程度)。
あと、Wi-Fi接続中にBLEアドバタイズすると120mA流れます。
今回、Wi-Fiのタイムアウトを1分、BLEのタイムアウトを2分として、BLEがタイムアウトしたらソフトリセットを掛けるようにしているので、実質的なアイドリング電流は44mA程度。バッテリーが160mAhなので4時間はもたない感じです。これは、スリープを入れることを検討する方が良さそうです。
【ここまで修正前】

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2025/03/12

MacBook Air(Mid 2017, Intel i5)故障、MacBook Air(2022, M2)への乗り換え【2025/03/13追記】

2019年3月からストレージを増量しつつ使ってきたMacBook Air(2017, Intel)が、3/9の夜に突然充電が遅くなり、そのまま一晩ACを繋いでおいても60%までしか充電できていませんでした。以前バッテリーがお亡くなりになったときはあっという間に満充電、あっという間にすっからかん、という症状だったので、今回はどうやらロジックボード(マザーボード)が壊れかけていると判断して、新しいMacを買うことにしました。私の使い方、即ち日常使いに若干のプログラミング程度であればAppleシリコンのMacBook Airで十分なのはハッキリしているのでリファービッシュ品を真っ先にチェックしたところ、2022年モデル・13インチM2のメモリ16GB SSD1TB品が(M3-16GB-256GBと同等の)166,800円で出ていました(いま見ると、もうありません)。また、ちょうど3/12(今日)にM4モデルが発売されることから新品は即納できないようで、逆に都合よく迷わず3/10の午前に注文しました。すると文字通りすぐに出荷されて、3/11の昼前に到着しました。選んだ色はミッドナイト、つまり夜空のような黒に近い紺色、すなわち「 本好きの下剋上」の主人公マインの髪色に近いものです:
M2_mba13
(前々から買うならこの色だと決めていました)

さて、
到着日3/11の朝からTimeMachineにバックアップを取って備えます。但しIntel Macからの移行ではバイナリの互換性が無いため「移行アシスタント」任せにするのは止めた方がいいという話を多く見ていた(一例)ので、私も最初はアプリケーション以外を移行アシスタントで移し、後からアプリをインストールする方針で始めたのですが、細々した開発ツール類(例えばESP32用のesptool.py)や自作プログラムのいくつかが動かなくなってしまったのと、そうまでしてもRosetta 2のインストールは避けられなかったのとで、3/11の作業は挫折してしまいました。それで今日は朝から工場出荷状態に戻して移行アシスタントで全て移行し、その後、実際に動かなくなったアプリを中心にインストールすることにしました。結局、動かなかったのはAndroid StudioLibreOffice、それにPythonぐらいでした(この機会にPython3はEOLを迎えてインストールパッケージも削除されたPython3.8をやめてPython3.11へ移行しました)。
もっともAppleシリコン対応アプリがあればより良いことは確かで、例えばArduino IDEのコンパイル時間を測ってみるとIntel用で51秒かかっていたのがAppleシリコン用だと25秒と2倍速いです(このプロジェクトは近日中に記事にします;実は記事を書いている最中におかしくなった)。
あと、esptool.pyは移行アシスタントを使用しても動かなかったのですが、これはシバンに書かれているパスが違っていただけのようでした(前は"/System"が頭に入っていた):
旧:#!/System/Library/Frameworks/Python.framework/Versions/2.7/Resources/Python.app/Contents/MacOS/Python
新:#!/Library/Frameworks/Python.framework/Versions/2.7/Resources/Python.app/Contents/MacOS/Python
(esptool.pyのためだけにEOLを5年前に迎えたPython 2.7.18をインストールするはめになりました)。

移行してみての感想ですが、やっぱりサクサク動くのは気持ちいい。また、キーボードのタッチが浅い割にフィードバックがしっかりしていて気持ちいいです。2代続けて「くさび形」のMacBook Airだったのでフラットな筐体が合うか心配していたのは杞憂でした。ただ、トラックパッドのクリック具合が前のと違っていてドラッグ&ドロップがうまくできず、早く慣れるようにコツを掴もうとしているところです。
ちなみに前のも完全に壊れたわけではないので、32bitアプリが走る環境を作っておくことなどを考えています。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (M2)

【2025/03/13追記】
ドラッグ&ドロップがうまくできないと書いていた件は、トラックパッド設定の「強めのクリックと触覚フィードバック」を切って解決しました。というか、このクリック感はハプティックスだったんですね。
M2_mba1302

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2025/02/19

簡単な動画再生補助デバイス(ラズパイ5・Firefox用)

Raspberry Pi 5(ラズパイ5)の電源SW制御がうまくいったのに気をよくしてコントロールボックスとwebアプリを作ってFirefoxで各種のラグビー配信動画を楽しんでいます。ほとんどの操作は無線マウスで済むのですが、動画を少し飛ばしたりリプレイしたりしたいときに、マウスでシークバーをいじるのが少し面倒に感じます。我ながらズボラだと思いますが、ラグビーの場合フルゲームでは2時間ほどありますから、精度良くクリックするのが少々難しいのです。

さて、ほとんどの動画サイトでは短いスキップが左右の矢印キーに割り当てられています:  
サイト左矢印右矢印備考
RugbyPass TV-5秒+5秒Jで-10秒、Lで+10秒
TOP14-10秒+10秒
HANAZONO LIVE--スキップなし
J SPORTSオンデマンド-30秒+30秒
ただ、これだけのためにキーボードを持ち出すのも面倒(またズボラな…)。というわけで、ちょっとスキップするだけのHIDデバイスを作ろうと思い立ちました(作るのは全然面倒だと思わない)。

イチから作ることも考えたのですが、ちょうど手元に使わなくなったページめくり機があるので、とりあえずこれのキーアサインとラベルを差し換えるだけで様子を見ようということで、作ったのがこちらです:
01rpi_movie_ctl
左が元のもの、右が今回手直ししたものです。ちなみに、ページめくり機として現役なのはSeeed Studio XIAO nRF52840 Senseを使ったものです。

コーディングは
「戻る(KEY_MEDIA_VOLUME_DOWN)」だったキーを「右矢印(KEY_RIGHT_ARROW)」に、
「送る(KEY_MEDIA_VOLUME_UP)」だったキーを「左矢印(KEY_LEFT_ARROW)」に、
「本棚へ(KEY_MEDIA_WWW_BACK)」だったキーを「ESC(KEY_ESC)」に、
それぞれ置換しました(ESCはフルスクリーンを解除するキー)。これだけだと少し芸が無いので、もうひとつマウスで面倒に思っていたFirefox起動をマクロにしてESC長押しに割り当ててみました。具体的には
🍓>下矢印>下矢印>右矢印>下矢印>リターン
↑berry mark
という手順です。私のラズパイ5ではメニューバーが上・ブラウザが2番目・Firefoxが2番目になっているので、このような手順になっています。なお、間にdelay()を適当に入れています。

ところで、これをArduino IDEでコンパイルして転送しようとしたところ、次のエラーが出てできませんでした:
error: 'adc_gpio_init' was not declared in this scope
このエラーで検索すると、Espressifのボードライブラリが2.0.3に更新されたときに出るようになったらしく、2.0.2に戻せば動くということで、その通りの対応で動くようになりました(現時点の最新は3.1.1)。どうやら今ではadc_gpio_init()自体が要らないようなのですが、その辺りの詳細は詰めていません。
コードはGitHubのページめくり機と同じリポジトリに「rpi_movie_ctl.ino」という名前で置いておきました。

もうここまできたら専用マウスを自分で作った方がいいのでは、という気もしていますが、以前にマウスのようなデバイスを作ってみたときにフィーリング通り動かすのがとても難しかったので、いまのところはペンディング。そのうちに、アイデアが湧いたら作ってみたいモノのひとつです。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

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2025/02/07

ラズパイ5の電源SWと周辺AV機器のリモコン+webアプリ【2025/02/11追記】

この1つ前の記事でRaspberry Pi 5(ラズパイ5)の電源をリモート起動できることを確認しました。続けて、わが家のラグビー観戦環境を整えに掛かりました。最終的にできた制御ボックスはこんな感じになりました:
04upper
…プリンタの不調でラベル品質がイマイチです。

まずは機能の検討です。ラズパイ5とともに、少なくともテレビの電源ON/OFFと入力切換はしたい。これはArduinoのIRremoteライブラリを使って赤外線LEDから送信すればいいので、以前やったことを思い出しながらやりました。実はバージョンがすごく上がっていて少々戸惑いましたが、結果としてexampleのReceiveDemoを使ってリモコンコードを読み込み、REGZAの場合はIrSender.sendNEC()に乗せるだけでした。
また、テレビをVIERAからREGZAに買い換えたせいだと思うのですが、パナソニック製サウンドバーの入力切換がREGZAに追随してくれず、先にDIGAを使っていた場合にサウンドバーのリモコンで入力をTVに切り換えないと音が出ません(たぶん、VIERAリンクとREGZAリンクの方言に引っかかった)。よって、サウンドバーの入力切換もできるようにしたい。これも赤外線リモコンなので上記と同様にコードを読み込み、IrSender.sendPanasonic()に乗せて、テレビとサウンドバーの両方が受信できる場所に赤外線LEDを置くことにしました。
ここまでの4機能(ラズパイ5電源・テレビ電源・テレビ入力切換・サウンドバー入力切換)は、デバッグ用を兼ねて、プッシュスイッチでも動かせるようにします。

リモートでのコントロール方法は、おうちサーバーとして常時稼働しているTinkerBoardにwebアプリを乗せて、ここからSPIでArduinoにコマンドを送ることにしました。事前実験でこちら(そのものズバリの簡潔な記事)こちら(SPIの基礎)こちら(spidev : Linux用Python SPIライブラリ)などを参考にして動作確認したあと、
a.一方通行でいいことからMISO(Master In Slave Out)が要らないか
b.1対1で1バイト送れればいいことからSS-/CSが要らないか(マスタのSSはNC、スレーブの/CSは常時L)
の2点を確認したところどちらも大丈夫だったことから、TinkerBoardとArduinoのSPI接続はMOSI・CLK・GNDと3.3V電源の計4本で済み(なんとGPIO端子も並んでいます)、するとUSB2.0ケーブルを流用できるというアイデアが出ました(高々9600bpsなのでMOSIとCLKのクロストークも問題無いと考えた)。試しにジャンクのUSBレセプタクルでTinkerBoard側・Arduino側それぞれのアダプタを作ってUSB A-MicroBの1.5m充電・転送ケーブルで繋いだところ、無事に通信できました。(ところが下記の通り、おそらくb.で副作用が出た。)

ここまでの検討をもとに、プッシュスイッチとSPI通信によって4機能を動かすスケッチを書いたのですが、ひとつ問題が発生しました。それはラズパイ5の電源で【ON-delay(500)-OFF】としていたところ、スイッチでは0.5秒待ちになるのに、SPI通信だとdelay()が消えてしまったのです(millis()で確認すると0〜1msecのパルスになっていたが、オシロでは確認していない)。実際ラズパイ5に繋いだところ、スイッチは確実に効くにも拘わらず、SPIでは不発多発で不安定。色々検索したところ割り込み関係のようだったのでdelayMicroseconds()やdetachInterrupt()などを試してみたのですが効きませんでした。おそらく上記b.でSS-/CSを省いたため、SPIデータが入ったあとタイムアウトするまで割り込みが解除されないのだろうと考えていますが、このままでは肝心のラズパイ5の電源制御ができません。
そこで、ラズパイ5については【ON-delay()-OFF】とするのでなく、【コマンドが入るごとにトグルする】ことを考えました。スイッチの場合はダブルクリック、SPIの場合はマスタ側のPythonスクリプトにtime.sleep()を入れて2回コマンドを入れることで、ONとOFFを切り換えるわけです。これで、必要な動作になりました。

あと、制御ボックスに付けられるスイッチは数個までですが、実際に使うシーンを考えると、音量調整などをリモートでできると便利です。そこで、スイッチとSPIで共通のコマンド以外のデータがSPIから来た場合にはテレビのリモコンコードだと見なして赤外線LEDから送信することにしました。これにより、新たな機能を付け加えたい場合には制御ボックスに無関係にマスタ側のアプリ(今回はwebアプリのスクリプト)を変更するだけで済むようにできました。

最終的な回路図は次のようになりました:
05sch

内部の基板は2段重ねです。次の写真左上がラズパイ5と赤外線LEDへのコネクタとスイッチおよびインジケータLEDの基板、左下がATmega328PとSPIインターフェース(に使っているmicroBレセプタクル)周りの基板です。写真の右側がwebアプリのキャプチャで、基本の4機能に加えて、音量調整やテレビのYouTubeアプリのコントロールができるようにしています。
06inside

BOMは次の通りで、合計1051円でした。なお、電線・ハンダ・ピン・ラベル等の副材はカウントしていません:
itemdetailpricepcssubtotal
MPUATmega328P w/bootloader4401440
microUSBAE-USBmB-PNL2501250
Tr2SC1815L-GR5210
IR LEDOSI5FU3A11C20120
RED LEDOSR5JA3Z74A5.515.5
Green LEDOSG8HA3Z74A616
PH postS2B-PH-K-S10220
PH housingPHR-25210
Push SWTVBP06-B043CW-B20120
Push SWDTS-63-F-N-V15460
C0.1uF10110
C1.0uF25125
C47uF10220
R47111
R10k144
R100k122
case内寸約60x40x30mm1101/427.5
D基板AE-DB1403120

Arduinoのスケッチと、マスタ側でマニュアル操作するためのPythonスクリプトは Githubにリポジトリを作って上げておきました(上記webアプリはサーバー環境に依存しますのでアップしません)。
世界屈指のハイレベルリーグであるフランスTOP14ではフル尺の試合動画が無償公開されていてStade Toulousain(トゥールーズ)の齋藤直人選手やUnion Bordeaux-Bègles(ボルドー)のテビタ・タタフ選手らが頑張っている姿が観られますし、ワールドラグビーの動画サイトRugbyPass TVは無料登録で多くのコンテンツが観られます。このRugbyPass TVでは、2025秋の女子ワールドカップや、セブンズシリーズがフル尺で観られ、サクラフィフティーン&サクラセブンズの勇姿が観られると思います(国内で放送・配信されない試合に限る;権利関係ですね)。今回作った仕組みで楽に観られるようになったので、これからも楽しく応援していきます。

以上、何かの参考になれば幸いです。

パドラッパ from MacBook Air (2017)

【2025/02/11追記】
1. 実働でラズパイ5電源制御のトグル動作が十分安定していることが確かめられたので、delay()の効くloop()内で2回電源制御コマンドを送ってトグルON-OFFするようにしました(RP5ctrl.ino)。これで、ラズパイ5の電源だけダブルクリックする必要が無くなりました(メモ貼りも不要になった)。
2. linuxコマンドラインツール(rp5etc_cli.py)内のウェイトを入れる場所を間違えていたので直しました。
以上2点を加えたソースはGithubに上げておきました。
3. ケースの蓋を開けるついでにラベルを作り直しました。
07upper2
…少しはマシになったかな。

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